“マクラーレン・ホンダ”新時代へ 競合から遅れること1年、4度目の挑戦
ホンダのチャレンジ、マクラーレンの信頼
伝説の“マクラーレン・ホンダ”が復活。ホンダ伊東社長(左)とロン・デニスCEOは「チャレンジ」を繰り返した 【スポーツナビ】
「今回、F1に参戦する意義は2つある。1つは新しい環境技術の追求。ホンダの卓越した技術につながる、究極のエネルギーマネジメントへのチャレンジ。もう1つ、過酷なレースはプロフェッショナルな人材を育む場になること。F1という極限の世界で培われた技術や人材を通じて、ホンダはイノベーションを起こし、勝ち続けることで、ファンの皆さんの期待に応えたい」
ホンダがパートナーを組むのは、第2期の1988〜92年までエンジンを供給したマクラーレン。当時アイルトン・セナ、アラン・プロストら名ドライバーを擁し、タイトルを独占した“マクラーレン・ホンダ”は、今や伝説として語られる。その黄金時代を知るマクラーレンの総帥、デニスCEOはホンダに今も変わらぬ信頼を寄せている。歴史を振り返りながら、ホンダのチャレンジをたたえた。
「(ホンダと組んだ)88年、F1の歴史の中でも最も成功した。私たちは16戦中15勝を挙げ、大きな快挙を成し遂げた。そして再び一緒になることを発表し、またとない関係を構築することができた。文化的な違いというチャレンジに真っ向から取り組み、お互いの信頼感を高める努力をしてきた。ホンダと一緒に仕事をすることはどういうことか、思い出すことができた。15年シーズンを目前に控え、ともに課題に直面しているが、ホンダは強いコミットメントを持った会社だ。競合は1年先を行っており、レギュレーションはかつてないほど複雑でもある。私たちはこのチャレンジに取り組む準備ができている。必ずや成功する。歴史的に見てもホンダはいつも成功している。80年代のホンダとマクラーレンのパートナーシップをぜひ再現したい」
名門チームを長きにわたって率いる男だ。もちろん、勝利の追及も忘れてはいない。「近い将来、少し時間がかかるかもしれないが、ワールドチャンピオンを(輩出して)祝福する機会があればと思う。まずは1戦、勝つことからスタートしていく」と締めくくった。
アロンソ、バトンは「一体感」に手応え
アロンソ(左)とバトンは新マシンの「一体感」に好感触。今後のテストで改善を重ね、万全の状態で開幕戦に臨めるか 【スポーツナビ】
しかし、マクラーレン・ホンダMP4−30を駆る2人のワールドチャンピオン経験者は手応えをつかんでいる。フェラーリから移籍したアロンソは、ヘレステストの結果にも前向きだ。
「テストの第一印象はとても良かったと思う。クルマにとても満足している。エンジン、シャシーがバラバラではなく、一体感があったと思う。とても快適だった。われわれにとってはチャレンジングな時期ではあるが、クルマが100パーセントの状態で開幕戦のオーストラリアGPに臨めるように。ホンダ・ファミリーの一員になれたことを誇りに思う。私のキャリアにとってもチャレンジングだ。ホンダで3度目のチャンピオンを勝ち取りたい」
ホンダ第3期のドライバーを務め、そのポテンシャルを知るバトンも同様だ。結果は伴わなくとも感触は悪くない。
「ヘレスでの最初のテストはわれわれにとっても特別なものだった。とてもいい感触を得ている。テストは改善のためのもので、まさにそうなった。1つのパッケージになった、一体感があった。2回目の(バルセロナでの)テストを楽しみにしている。さらに改善を図れれば、(オーストラリアGPの)メルボルンでのレースには準備万端で臨みたい。最良の結果を出せればいい」
両ドライバーのコメントには、多分にリップサービスが含まれていることは言うまでもないだろう。ただ、2人が口にした「一体感」はプラス要素だ。マクラーレンのパートナーとして、最低限はクリアできていると見ていい。
残されたテストはバルセロナテストの2回(2月19〜22日、2月26〜3月1日)。周回数、タイムでも大きく離され、トップチームには遠く及ばない。改善すべき点は多々ある。おそらく、開幕を迎えた時点で、そのすべてが解決するのは難しいかもしれない。それでも……ホンダのアイデンティティーはチャレンジにある。4度目の挑戦を始まったばかりだ。
伝説からすでに20年以上が経った。“第2期マクラーレン・ホンダ”が新たな時代を切り開くことを期待したい。
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