花より実を取った松本山雅FC 3つの課題克服でJ1定着を目指す
2シャドーの人材は昨季を凌駕
得点源の相次ぐ流出は痛手だが、前田直輝ら多士済々なアタッカーを補強した 【写真:築田純/アフロスポーツ】
また、新加入選手には180センチ超の大型選手が多いことも特徴の一つだ。松本といえば、昨季のチーム総得点(65得点)のうち半数以上の34得点がセットプレーから生まれている。今季もキッカーを任される可能性の高い岩上が「(今季の新加入選手は)大きい選手が多く、集合した時に『俺って小さいな!』と感じました」と苦笑しつつ、「セットプレーで得点できれば簡単だし、ターゲットに合わせていきたい」と昨季のチームの武器だったセットプレーにさらなる磨きをかけるべく燃えている。事実、浜松開誠館高との練習試合では、岩上が蹴った右CKを酒井が頭で合わせて追加点を挙げている。J1の舞台でも得点パターンを確立できれば、ミッション達成も自ずと近づくことになろう。
チーム内の競争が激化
複数ポジションをこなす那須川(右)らの加入で、戦術の幅も広がりそうだ 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】
チーム内競争の激化は副産物も産み出す。「途中投入でチームの流れを大きく変えられる選手は残念ながらいなかった」と指揮官が振り返るように、昨季はゴールやアシストなど目に見える形で結果を残せるスーパーサブが不在だった。しかし、「途中出場からでも流れを変えられる自信はあります」と口にする石原のように、それぞれ他にないストロングポイントを持っている選手たちが途中投入されることで、それまでの試合の流れをガラリと変えることが期待できる。また、既存選手そして新加入選手の多くが複数ポジションをこなす点も大きい。那須川将大(徳島ヴォルティスから加入)は左ウイングバックの他に左CBをこなし、ドリバ(トンベンセ/ブラジルから加入)は攻撃的ボランチが本職ながら、右アウトサイドでのプレー経験がある。試合状況や展開に応じた戦術の幅も広がりそうで、良い意味で指揮官の頭を悩ませてくれるはずだ。
指揮官の舵取りに注目
補強した選手をどう生かすのか。反町監督の舵取りに注目だ 【写真:アフロスポーツ】
15年は、前身の山雅クラブ時代から数えてクラブ創立50周年となるメモリアルイヤー。記念すべき年にJ1という新たなる舞台に挑む松本の戦いに括目せずにはいられない。