大仁会長「もっと調べておくべきだった」=アギーレ監督契約解除についての会見

スポーツナビ

アギーレ監督の契約解除を発表した大仁会長。会見では厳しい表情を見せた 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

 日本サッカー協会(JFA)は3日、日本代表のハビエル・アギーレ監督との契約解除を発表した。アギーレ監督はサラゴサ(スペイン)の指揮官だった2011年5月の国内リーグ戦で八百長に関与したとして、同国検察庁から告発され、2日夜に受理されていた。2月下旬から本格的な捜査が始まると見られ、代表活動にも影響が及ぶことが懸念されるため、決断が下された。

 会見に出席した大仁邦彌会長は「指導者としての手腕を高く評価していたので(告発が)受理されないことを願っていました」とコメントしつつも、「私としては一番考えないといけないのが日本代表への影響。日本サッカー協会の最大のミッションは18年ワールドカップ(W杯)・ロシア大会の出場。予選が6月から始まります。今回の告発の受理によって捜査が始まり、起訴されて裁判が始まる可能性があります。我々としましては、W杯アジア予選にできるだけ影響が出ないようにリスクを排除する必要があると考えました」と、解任に至った経緯を説明した。

大仁「W杯予選に影響がないようリスクを排除」

登壇者:
大仁邦彌(日本サッカー協会会長)
三好豊(日本サッカー協会法務委員長)

大仁 昨日2月2日の夜遅くに、アギーレ監督に関する検察の告発が受理されたという事実が確認されました。私どもとしましては、アギーレ監督の指導者としての手腕を高く評価していましたので、受理されないことを願っていたのですが、大変残念な結果に終わってしまいました。今回の告発の受理について、私として一番考えないといけないのが日本代表への影響です。日本サッカー協会の最大のミッションは18年W杯・ロシア大会の出場です。その予選が6月から始まります。今回の告発の受理によって捜査が始まり、起訴されて裁判が始まる可能性があります。我々としましては、W杯アジア予選にできるだけ影響が出ないようにリスクを排除する必要があると考えました。ということで、今回アギーレ監督との契約を解除する結論に至りました。

 アギーレ監督に対しては、今回の契約解除の理由は、W杯予選への影響、リスクを避けたいということ(を説明した)。八百長に関与していた事実はまだ確認されていないわけですから。この問題は名誉に関わる大変重要な問題だと思っています。アギーレ監督は無実を勝ち取ることに全力を尽くしてほしい。本日14時に私から直接、契約解除を申し入れ、監督は「やむを得ない」ということで、これに同意していただきました。誠に残念な結果です。代表選手、ファンやサポーター、スポンサーの皆さま、関係者の皆さまには大変ご心配をおかけしましたが、今回の私どもの結論をご理解いただき、今後ともご支援いただければと思います。

――3月に親善試合が2試合(27日のチュニジア戦と31日のウズベキスタン戦)あるが、後任はこれに間に合うのか、それとも代行監督でいくのか。現時点での進捗状況を教えてほしい。

大仁 できましたら3月の試合に間に合わせたいと思いますが、それに間に合わせるために「このへんでいいだろう」という人材を選ぶことはないと思います。技術委員会が全力を挙げて、新しい監督の体制を作るために取り組んでいくことになると思います。

――アギーレ監督側から契約解除にあたって違約金の要求はあったか? また今後あったとしたら、どのように対応するか?

大仁 アギーレ監督には今回の解除についての条件に合意いただいております。(具体的な内容については)守秘義務があるので申し上げられません。違約金という形ではありません。

契約解除の通告に、アギーレ「やむを得ない」

――今回の決断に関して、もっと早く決断できたのではないかという意見もあるが、このタイミングでの決断した理由は?

大仁 先ほども申し上げましたが、我々はアギーレ監督の手腕や力量を大変高く評価しております。できたらこの体制で今後も続けていきたいということで、告発が受理されなければ何ら問題がなく今後もこの体制でいけると思っていましたので、その点は見極める必要があったということです。

――まずアギーレ監督に伝えた時の彼の反応は? また受理されたら契約解除ということは、いつ頃から考えていたのか?

大仁 アギーレ監督がオーストラリアから帰ってきて報告があったときに、私からは「もし受理があれば非常に厳しい状況になるということを理解してほしい」と伝えてありました。今回告発が受理されたことで、日本代表の活動、W杯予選に大きな影響があるということで理解してもらったと思っています。いつ決断したかにつきましては、我々はいろいろな状況を想定していましたが、受理されたのでこういう結論に達したということです。

――監督は何と言っていたか?

大仁 「やむを得ない、分かりました」と言っていました。

――告発の受理を確認したのは、昨日の何時頃か?

大仁 夕方から連絡していたのですが、なかなか連絡がとれませんでした。アギーレ監督の代理人とこれまで連絡をとっていたのですが、昨夜12時近くにようやく受理を確認できたということです。

――三好法務委員長は、ご自身の立場で今回の契約解除をどう判断したのか?(大住良之/フリーランス)

三好 会長が申し上げたとおり、解除の理由は、アギーレ監督が八百長に関与したという事実を協会が確認したということではありません。告発の受理というのはあくまで捜査が正式に開始されるという効果をもっているものであり、このあと捜査が正式にあって、起訴するかどうかの判断があり、最終的に起訴された場合に判決があって、そこで八百長があったかどうかが裁判所によって正式に判断されるというプロセスなんです。

 告発が受理されたということは、捜査が開始されたというだけでありますので、協会としてアギーレ監督については推定無罪の原則ということで、有罪だという前提で契約を解除したわけではないです。現時点ではあくまでも無罪という前提で対応しないといけない。ただ会長が申し上げたとおり、今後の代表チームへの影響を考えたとき、受理がされて捜査にアギーレ監督は対応しなければならない。その後、起訴ということになったら、さらに裁判手続きに対応しなければならない。そうしたことを考えた上で、マイナスリスクを今の時点で取り除くことが日本代表にとってプラスであるという考えに基いて、解除に至ったわけです。したがって、法務委員長としてもまったく異論はないところであります。

1/2ページ

著者プロフィール

スポーツナビ編集部による執筆・編集・構成の記事。コラムやインタビューなどの深い読み物や、“今知りたい”スポーツの最新情報をお届けします。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント