佐藤真海が伝える“スポーツのチカラ” 皆が尊重し合える社会を残すために

スポーツナビ
PR

提供:(公財)日本ラグビーフットボール協会

 休憩を挟んで行われた第2部では、第1部の講演に関する質疑応答が行われた。

佐藤氏「弱いからこそあえてチャレンジする」

第2部の質疑応答では活発な議論が行われた 【スポーツナビ】

――企業スポーツとして意識していることは?

佐藤 記録を伸ばすことだけで終わらせないということですね。やはり「やらせてもらっている」というのもありますし、夢に向かう素晴らしさや生き方を子どもたちにシェアしていくことなどを使命感を持ってやっています。

――特に復興支援はご自身の生まれ故郷でもあり、仕事を超えた使命がある?

佐藤 「支援」という押し付けがましいものではなく「伝えたい」という思いでやっています。それを継続できているのも会社の協力なしではできないですし、そこはうまくリンクしてできているという感じですよね。だから私の存在感も広がりますし、相乗効果かなと。10年経ってやっとお役に立てている感じがします。最初のころはお荷物だったのかなと思うんですけれど(笑)、それでも可能性が広がってきて、自分にしかできない活動をやってこられたと思います。

――佐藤さんのメンタル面の強さの支えは?

佐藤 強いと思ったことはそうそうなくて、弱いからこそあえてチャレンジを続けてきて、それが自分のベースになってきたのだと思います。何か2つ選択肢があったら難しいチャレンジを選んだり、安全パイの成長のないほうではなく、思い切ったチャレンジに飛び込めるようになったと思いますね。「自分の限界のふたを外す」と言っているのですが、「やってダメなら戻ればいいじゃん」と。

さらに誇りに思える日本へ

――2020年東京パラリンピックで会場を満杯にするためには何が必要か?

佐藤 イギリスでの例がいいヒントになると思うんですけれど、スポーツ界だけでなくメディアやスポンサー企業など多くの皆さんの協力がないと、ああいうテレビ(CM)や、日々応援してもらう機会、見てもらう機会、触れ合う機会を作れないんじゃないかと思います。1回見たらやっぱりイメージが変わると思うんですよね。その1回をたくさん作っていかないといけません。

深山 いい例が去年、織田フィールド(東京・渋谷区)でやっていたブラインドサッカー。あれはびっくりしましたね。初めて見たんですけど、声を出して応援したら怒られてしまって。

佐藤 そういうのが分からないと。2020年に「シーッ!」とか言われてもね(笑)。

――東京五輪・パラリンピックの10年後の2030年に日本はどうなっていると思うか?

深山 60歳を境に「後もう何年もないな」となったところで、実際問題、自分はどうやって生活していけるのか、これまでは階段をひょひょっと上がってきましたが、「こんなのひょっと上がれるのか?」ということを普通に考えるようになりました。佐藤さんと仕事で関わらせてもらうようになってから、ともに生きる、共生するということを難しく考えないで、「階段を上れるかな」といったことを自分が当事者になった気持ちで考えることができるようになる社会になればいいと思いますし、その時には自分はそうだと思います。「目の不自由な方はこうですよ、お年寄りはこうですよ」といちいち言わなくても普通にね。そして「2020年のレガシーはこういうところにあったね」となればいいと思います。

佐藤 2030年は世界が近くなっているといいなと思います。日本は島国なので、どうしても“普通”から外れる人を特別視してしまうというのが、正直あるのかなと。自分がパラリンピック選手になったり、海外に行って文化や人種の違いを感じながらいろんなことを見てきたりするなかで、本当に自分の世界が広がったなと感じるんですね。2019年のラグビーW杯は全国に広がる、2020年もかなり大きな大会として迎えるということで、まず子どもたちの視野がグローバルに広がると思いますね。また2020年に向けて、一人一人の底力を含めてすごくレベルアップをしていく。企業も技術開発したりと世界に誇れるものを作っていく。それが集結していって2020年を迎えて、さらに10年経って、さらに誇りに思える日本になっているんじゃないかなと期待しています。

深山 日本で開催された一番近い五輪は長野、その前が札幌でその前が東京です。五輪やパラリンピックの後のことを考えようということはこれまでなかったと思うんですよね。今はそれをやらないとダメよ、と。お金の無駄遣いしてもしょうがないし、考え方もそうじゃないですか。そういったことを今、ここで話をしたり皆さんが考えられたりするというのがあるので、今回はすごく期待できるんじゃないですか。

佐藤 この5年間をどう過ごしていくかが一番大事かなと思いますね。

あなたにとってラグビーとは?

ラグビーへの思いを語った佐藤氏 【スポーツナビ】

佐藤 生での観戦が大好きです、という感じですね。テレビで見るよりも人間がぶつかり合う音を生で聞くのがすごく好きで「これぞスポーツ」という感じがしています。

深山 高校ラグビーや大学選手権や、サントリーと明治大が戦った日本選手権(1995年)までは中継をやっていたんですよ。仕事で携わっていたので、競技として面白かったですね。方式が変わってから四半世紀経ちますが、ラグビーでよく言われるのはノーサイドの精神で、それもありますが、僕は戦略性や組み立てがすごく面白いなと思います。皆さん、もっとラグビー場に行きましょう!

協力:(公財)日本ラグビーフットボール協会

3/3ページ

著者プロフィール

スポーツナビ編集部による執筆・編集・構成の記事。コラムやインタビューなどの深い読み物や、“今知りたい”スポーツの最新情報をお届けします。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント