注目は無敗同士の日本Sフェザー級王座戦=2月のボクシング興行見どころ

船橋真二郎

五十嵐が2階級制覇へ再起3戦目

13年4月に八重樫東と激闘を繰り広げた元WBC世界王者・五十嵐。2階級制覇へ再起3戦目となる 【写真は共同】

 13年4月、八重樫東(大橋)に敗れ、王座を追われた元WBC世界フライ級チャンピオンの五十嵐俊幸(帝拳/19勝11KO2敗1分)が7日、後楽園ホールで再起3戦目に臨む。昨年9月の前戦ではフィリピンランカーに苦闘を強いられた五十嵐が迎えるのはエフライン・ペレス(メキシコ/17勝12KO5敗)。五十嵐は現在、WBAに河野公平(ワタナベ)、WBCにカルロス・クアドラス(帝拳)、WBOに井上尚弥(大橋)と、日本のジム所属の3王者が居並ぶスーパーフライ級で2階級制覇を目論む。

 アテネ五輪出場経験もあるサウスポーは元メキシコチャンピオンに快勝し、スーパーフライ級戦線の重要なキャストとして名乗りを上げられるか。また、アンダーカードに出場する日本スーパーフェザー級10位の尾川堅一(帝拳/13勝11KO1敗)にも注目したい。スーパーフェザー級の次期挑戦者候補として期待される日本拳法出身の強打者は、アマ経験豊富なサウスポー中野和也(花形/8勝7KO3敗)を相手に6連続KO勝利を狙う。

岩佐がIBF世界王座挑戦者決定戦

 前東洋太平洋、元日本バンタム級チャンピオンの岩佐亮佑(セレス/18勝11KO1敗)に待望のチャンス到来――。18日、岩佐が後楽園ホールでIBF世界バンタム級挑戦者決定戦に臨む。11年3月、現WBC世界バンタム級王者の山中慎介(帝拳)に10ラウンドTKO負けしたのが唯一の黒星。統一戦での山中との再戦を望む岩佐にとって、今後のキャリアを左右する重要な試合となる。IBF6位のセルヒオ・ペラレス(米/24勝16KO2敗)とはサウスポー対決になるが、映像を見る限りではスピードとスキルで岩佐が上という印象。身長、リーチで劣るペラレスが粘り強く岩佐を追いかける構図が予想される。体重調整に苦しみ、一時はスーパーバンタム級への転級を視野に入れたこともある岩佐のコンディションもポイントになってくるだろう。

 勝ち残ったほうが、27日(日本時間28日)に米・カリフォルニア州インディオで行われるIBF世界バンタム級タイトルマッチ、全勝チャンピオンのランディ・カバジェロ(米)対アルベルト・ゲバラ(メキシコ)戦の勝者への挑戦権を手にする。ペラレスにとってもビッグチャンス。そう簡単な試合にはならないはずだが、厳しい戦いを乗り越えてこそ、その先の大舞台につながる経験にもなる。高校3冠からプロ転向した俊才は大一番で本領を発揮することができるか。その真価が問われることになる。

リーゼント和氣は7カ月ぶりの試合

 27日には、東洋太平洋スーパーバンタム級チャンピオンの和氣慎吾(古口/17勝10KO4敗2分)が後楽園ホールで5度目の防衛戦に臨む。昨年後半、立て続けに世界初挑戦の話が持ち上がるもまとまらず、7カ月ぶりのリングとなる和氣が迎えるのは同級13位のジミー・パイパ(フィリピン/16勝6KO2敗1分)。来日経験もあるサウスポーは、なかなかの試合巧者でランクこそ下位だが、決して侮ることはできない。逆に和氣が久しぶりに存在をアピールするには格好の相手と言える。リーゼントヘアーがトレードマークのサウスポーはスピードとアグレッシブな姿勢が持ち味。来たる世界初挑戦に向け、和氣は仕切り直しの第一歩を力強く踏み出すことができるか、正念場の一戦となりそうだ。

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著者プロフィール

1973年生まれ。東京都出身。『ボクシング・ビート』(フィットネススポーツ)、『ボクシング・マガジン』(ベースボールマガジン社=2022年7月休刊)など、ボクシングを取材し、執筆。文藝春秋Number第13回スポーツノンフィクション新人賞最終候補(2005年)。東日本ボクシング協会が選出する月間賞の選考委員も務める。

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