“2年目の壁”を乗り越えたブシャール=全豪オープンテニス

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女子シングルス4回戦に登場したブシャール。新鋭台頭“2年目の壁”を乗り越えた 【Getty Images】

 全豪オープンテニス第7日が25日、オーストラリア・メルボルンで開催され、男女シングルスは4回戦が行われた。

立場が変わる2年目

 錦織圭(日清食品)の活躍で、男子の熱戦ぶりは日本国内にも伝わっているだろう。一方の女子は、32シード中11人が1回戦敗退する波乱の立ち上がりだったが、ベスト16が出そろい興味深い熱戦が続く。

 この日のセンターコートの第1試合に登場した20歳の新鋭、ユージェニー・ブシャール(カナダ)が力強いプレーでベスト8一番乗りを果たした。対戦相手は、世界42位のイリナ=カメリア・ベグ(ルーマニア)。第1セットは6−1で奪って力の差を見せつけた。

 ブシャールは、2012年のウィンブルドンジュニアで単複優勝するなど早くから高く評価されてきた選手だが、昨年、一気にトップ10に浮上。そのきっかけがこの全豪オープンだった。初出場でベスト4に入り、全仏オープンでも4強に進んで、ウィンブルドンでは準優勝。

 ただ、こうした新鋭には台頭2年目の壁がある。挑戦者の立場から一転、挑戦される受け身の立場に回る。最近まで身近にいた格下選手が、「自分も勝てる」「失うものは何もない」と全力でぶつかってくる。ブシャールにとっては、3回戦のカロリン・ガルシア(フランス)、そしてこの日のベグがそうだった。

次は未勝利のシャラポワ戦

 第2セット、ブシャールが3−0とリードしたところから、ベグが強烈なサーブ、リターンをたたきつけて攻勢に転じた。ブシャールがたじろいいでしまうと、5ゲーム連取されて、このセットを5−7で落とす。

 端境期の新鋭が受ける「過去」からの洗礼。問題は、この荒波に冷静に対処できるかどうか。ブシャールは、どんな状況でもウィナーを狙ってくる強気のテニスが特徴だ。ファイナルセット、ライン際やベースライン深くにリスク覚悟のショットを打ち込んで、第1ゲームをいきなりブレーク。そのリードを守り切った。

 準々決勝はマリア・シャラポワ(ロシア)との対戦。ブシャールはまだセリーナ・ウィリアムズ(米国)にもシャラポワにも勝っていない。ということは、グランドスラムの2週目では〈2年目の壁〉が取り払われ、再び挑戦者の気持ちに戻る〈2年目の利〉が訪れる。そこが見どころになるだろう。

 男子も流れは同じ。錦織圭は1週目で格下に苦しめられながら、2週目ではベテランのダビド・フェレール(スペイン)と対戦し、今度は思い切り当たれる立場になる。

 その男子では、ラファエル・ナダル(スペイン)が第14シードのケビン・アンダーソン(南アフリカ)を倒し、錦織とともに期待されている若手グリゴール・ディミトロフ(ブルガリア)は第6シードのアンディ・マレー(イギリス)に挑戦したものの敗退。

 盛り上がったのは、地元19歳のニック・キルギオス。3回戦でロジャー・フェデラー(スイス)を倒したアンドレアス・セッピ(イタリア)に2セットダウンから追いつき、ファイナルセット8−6で逆転勝ち。ナダルを倒した昨年のウィンブルドンに次いでベスト8進出を決めた。女子はブシャール、シャラポワとともに、エカテリーナ・マカロワ(ロシア)、シモーナ・ハレップ(ルーマニア)が勝ち進んでいる。

(文:武田薫)
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