稀代のロングセラーがモデルチェンジ 南井正弘のイチオシ!

南井正弘

シューズと足の一体感がさらに向上

ミッドソール(アウトソールとアッパーとの間のソール)部分はニュータイプのスピーバ(着地時の衝撃を推進力に変換する素材)とソライト(少ない力で走行でき、疲労抑制が期待できる軽量素材)を組み合わせることで、着地から蹴り出しまで、流れるようなスムーズな走りを実現するフルイドライド構造を採用 【南井正弘】

 筆者はこれまでに何足かの同シリーズを履いてきており、特に「GT-2130 ニューヨーク」は、ほぼ毎日走るようになった2007年の11月に購入し、日々のラン、レースの両方に履きまくり、履き口のライニングが擦り切れるほど愛用した思い出深いシューズ。最近では「GT-2000 ニューヨーク」の軽量化に驚き、「GT-2000 ニューヨーク2」を着用してニューヨークシティマラソンを完走するなど、自分のランニングライフには不可欠な存在だ。

「GT-2000 ニューヨーク=初心者向け」というイメージがあるかもしれないが、決してそんなことはなく、ある程度の脚力があればフルマラソンをサブ4〜サブ4.5のペースで走ってもストレスは感じない。

 最新モデルの「GT-2000 ニューヨーク3」を履いてみると、ブランドストライプの位置が従来のアッパー(甲の部分全体の総称)中足部からかかと方向へと移動したことにより、まず前足部分の開放感とヒール部分のフィット感の高さを感じる。

 アシックスのランニングシューズはもともと履き口のフィット感が優れていることで知られているが、このモデルではシューズと足の一体感がさらに向上しており、ランナーの脚力をロスなくシューズに伝達してくれるのを体感することができた。

着地から蹴り出しまでの正しい足の動きをランナーに提供するガイダンスラインをアウトソール(地面と接地する部分の底)部分中央に刻んでいる 【南井正弘】

初心者〜中級まで幅広いランナーに対応

かかと部分のゲルは前モデルよりも大型化されており、クッション性が向上 【南井正弘】

 ここ数シーズンの同シリーズは軽量化に注目が集まっていたが、今回のモデルはクッションテクノロジーのゲルが大型化されるなど、衝撃吸収性能が前モデルよりも向上している気がした。

ヒール部分に配された「IGS」のロゴ。「IGS」とは運動中の足が目的とする動作を行うための必要な機能がすべて盛り込まれた設計理念で、材料力学、衝撃工学など広範囲にわたる知見に基づいた研究や実験を重ねることで生み出されたもの。「IGS」のロゴはこれらが最適化されたシューズにのみ付けられる信頼の証しで、「GT-2000 ニューヨーク3」や「ゲルカヤノ21」のような限られたシューズにのみ、そのロゴが配されている 【南井正弘】

 メドックマラソンの際に知り合ったハワイはカウアイ島在住のウィルは、「GT2170が自分にとってのベストシューズなんだ。日本で売れ残っていたら送ってくれないか?」と筆者に懇願し、軽量化で若干シューズの特性が以前とは異なったことを嘆いていた。だが、今回のモデルは軽量化に成功しつつ、クッション性をはじめとした足の高い保護性も従来以上に追求しているので、190センチ、90キロあろうかという彼のような大柄なランナーをもきっと満足させることだろう。

「GT-2000 ニューヨーク3」は従来モデルの7〜8割の機能性をキープしつつ、残りの部分の性能を向上させるというアシックスのプロダクト開発やモデルチェンジのポリシーに基づいて設計されているので、前モデルからの履き替えでも戸惑うことは少ないはずだ。

 このプロダクトは汎用性が高く、対応するランナーの幅も広いが、まず薦めたいのが「これからランニングを始めようとするランナー」。トータルバランスに優れたこのシューズを履けば、足を痛めることなく走ることを継続することができ、ランニングの楽しさに目覚めることだろう。

 それと「中級レベルで、特に足の保護性を求めるランナー」にも最適だと思われる。数年前の同シリーズと比較すると走行性能は大きくアップしているので、アシックスのチャートでの推奨ペースはもっと遅いものの、このシューズを履いてフルマラソンでサブ4を達成することは決して不可能ではない。個人的には前モデルと比較して、安定性を筆頭にかなり走りやすくなっている気がした。

GT-2000 ニューヨーク3

11,800円(税抜)
お問い合わせ:アシックスジャパンお客様相談室 0120-068-806

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著者プロフィール

フリージャーナリスト。1966年愛知県西尾市生まれ。スポーツブランドのプロダクト担当として10年勤務後、ライターに転身。スポーツシューズ、スポーツアパレル、ドレスシューズを得意分野とし、『フイナム』『日経トレンディネット』『グッズプレス』『モノマガジン』をはじめとしたウェブ媒体、雑誌で執筆活動を行う。ほぼ毎日のランニングを欠かさず、ランニングギアに特化したムック『Runners Pulse』の編集長も務める

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