選手権の流通経済大柏はアタリかハズレか 爆発力を持つチームに求められる安定感
今季のチームも戦力は十分
激戦区・千葉を制した流通経済大柏。決勝では市立船橋を大逆転で下し、選手権への切符をつかんだ 【平野貴也】
相澤がさばき、左から長身でスピードがあり、高精度の左足を武器とする小川諒也(FC東京に内定)が仕掛け、ゴールセンスに長けたFW高沢優也が決めるという形もできていた。流経大柏は毎年、国内トップクラスの選手層を誇り、激しいポジション争いの中で選手がもまれて強くなっていく。前年には高校勢として初のプレミアリーグチャンピオンシップを制覇したが、次の年も戦力は十分だと確認させられた試合だった。ところが、このチームは、すんなりとはいかなかった。
リーダーを欠く個性派集団
FC東京内定の小川など優れた個の力を生かせず、調子の波が激しいシーズンを過ごした 【平野貴也】
リーダーを欠く個性派集団は、持てる力を発揮し切れない試合が少なくなかった。総じて失点が多く、成績が安定しない。小川は「首位の柏レイソル(U−18)に勝ったのに、最下位のコンサドーレ(札幌U−18)には負けましたからね」と首をかしげた。調子の波が激しく「アタリ」の日は敵なしだが、「ハズレ」の日は並以下という課題は、シーズン序盤から浮き彫りになっていた。
完成型が見えた県予選決勝
2度のキャプテン交代を経て、腕章は広瀧(中央)へ。メンバーを入れ替え、県予選を制した 【平野貴也】
土壇場でチームを作り直しながら臨んだ県予選は、苦戦の連続だった。初戦も準決勝もアディショナルタイム弾での勝利。そして決勝の市立船橋戦でも2点をリードされるという苦しい展開だった。しかし、途中出場の相澤とFW福井崇志が大活躍。PKを含む小川の2得点で後半に追いつくと、最後は相澤のピンポイントパスに福井が飛び込んで決勝点。大逆転で全国大会の切符をつかんだ。相澤は「崇志もそうですけど、自分も集中力がないのでサブになっちゃいました」と相変わらず笑っていたが、ようやく今季の完成型が見えて来たという一戦だった。
まとまりと集中力を持続できるか
唯一の課題はチームとしてのまとまりと集中力を持続できるか。選手権ではどんな仕上がりを見せるのか 【平野貴也】
総攻撃を仕掛ける際の爆発力は、市立船橋でさえ自陣ゴールに釘付けにされるほどで、どのチームも止めようがない。しかし、市立船橋戦は、全国の切符がかかった試合で相手が昨季3度も敗れた最大のライバルだったからこそ、自然と一体感のある大きな力が生まれたという部分がある。全国大会でもまだ調子の浮き沈みという不安は付きまとうだろう。
チームとしてのまとまりを持てるか、そして集中力を持続できるかが最大にして唯一の課題だ。その問題を解消できれば、堂々たる優勝候補と言える。大みそか、フクダ電子アリーナで作陽(岡山)と対戦する流経大柏は、果たして「アタリ」だろうか、それとも「ハズレ」だろうか。
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