大阪桐蔭監督が明かす、プロ輩出の秘けつ 球児の成長を促す中村、西岡らの姿

松倉雄太

自分たちで考えるように導くミーティングが必要

捕手育成にこだわりを一層強く見せる西谷監督(右端)。春夏連覇した12年は森(中央)に加え、藤浪と澤田も参加してミーティングを重ねた 【写真は共同】

――中学生を見るポイントを教えていただけますか?

 まず「大阪桐蔭でどうしてもやりたい」というのが一番です。「練習がしんどい」ということも言いますが、その時の目の輝きを大事にします。あとはうまい下手よりも、練習以外の時間も共有することで、チームが作れるという考えなので、3年間寮に入って、本気でやりたいというのも第一条件ですね。

 技術的なことではいろいろありますが、積極的な子がいいですね。大げさにいえば、3ボールノーストライクでも打ちたいという子が、私は伸びる気がします。

――どれくらいの割合で中学生を見に行かれますか?

(授業をなしにしてもらっている)土曜日だけで、今年はコーチが撮影してきたビデオを見ることも多かったです。まず試合を見て、それから練習(を見る)という感じですね。

――ポジションについてのこだわりはありますか?

 捕手はあまり同学年で競争させたくないですね。「これ」と決めた選手を、下級生の時から(控えで)ベンチに入れて、ミーティングをして、叱りながら鍛えていく。捕手は特別なポジションで、失敗の経験がいると私は思っています。ですから競争させずに鍛えて、上級生になった時に下級生と勝負させたいと考えています。

――ご自身も捕手出身ですが、それだけ捕手に対する思いもありますか?

 捕手は時間がかかると思います。ミーティングをしますが、相手の対策だけでなく、自分たちの映像を見ていろいろ言い合う。いわゆる無駄話も多くなります。私の部屋でジュースを飲みながらという感じで。

――どんな話をされるのでしょうか?

 2アウト二塁、左打者でフルカウントになったら何を考えるのか、を聞くと「打者を打ち取ること」と答える。「次の打者が右なのか左なのか」と尋ねると「はっ?」という感じになります。「例えば藤浪が投げていて、右が相手ならスライダーでほとんど打ち取れる。それなら今の左打者を(四球で)歩かせても全然問題ない。その感覚があっての配球だったらいいが、この打者を打ち取らならればいけない感じだったのか?」など、そんな話をしました。

 森の時(春夏連覇の2012年)は、そこに藤浪と澤田(圭佑/立教大2年)もいて、「俺やったらこんな球を投げていた」とか。1時間くらいでは済まない話ですね(笑)。すると、次の日のブルペンが変わって、考えた練習になります。そのように導くミーティングが必要です。そうするためにも、1学年下の捕手を入れていたいですし、それだけ経験値がいるポジションだと思います。

いつかは教え子のチームと対戦を

――高校野球の指導をされて20年以上になりました。

 まだまだすべてを模索しています。教師として人を育てる仕事ですし、選手が毎年入れ替わる中でも勝ちたい。勝ち続けるためには、いい補強をして、いい練習をして、いいところ(進路)へ送り出す。そのサイクルが大事です。そのためにも自分も勉強しなければいけません。

――生徒との年齢が段々離れていく難しさも感じますか?

 妹の子供が藤浪と同級生だったので、そのあたりから感じるようになりました。(選手にとっては)兄貴から親(の世代)という感じですね。子供たちの質も変わりました。昔は下手な選手は練習試合にも出さなかったのですが、今はみんなにチャンスをあげて「これだけの力が足らない」と明示する方が子供たちにとって良いと思います。

――そうなると、実戦が大事ですね。

 今のうちは、実戦を多くして、「実戦力」をつけるということが大きな柱になっていますね。

――最後に10年後、20年後の夢を教えてください。

 いつか教え子と甲子園で戦いたいですね。そういった意味で教え子に指導者になってほしいですね。

西谷浩一監督プロフィール

1969年9月12日。兵庫県出身。現役時代のポジションは主に捕手。報徳学園高から関西大学に進み、3年春には関西学生野球連盟優勝、全日本選手権優勝を果たし、4年時は控え捕手ながら主将を務めた。卒業後は大阪桐蔭高のコーチを経て98年に監督就任。一時、コーチに戻るが04年から再び指揮を執る。同校社会科教諭。

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著者プロフィール

 1980年12月5日生まれ。小学校時代はリトルリーグでプレーしていたが、中学時代からは野球観戦に没頭。極端な言い方をすれば、野球を観戦するためならば、どこへでも行ってしまう。2004年からスポーツライターとなり、野球雑誌『ホームラン』などに寄稿している。また、2005年からはABCテレビ『速報甲子園への道』のリサーチャーとしても活動中。

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