全身運動のボルダリングに挑戦! 「松原渓のスポーツ百景」

松原渓

【松原渓】

ボルダラーの美しい身体にほれぼれ

ユニークなホールドがたくさん 【松原渓】

 最近、気になるスポーツがある。

 それが「ボルダリング」。今、ボルダリングにハマる人が増えているという。あり余るエネルギーを持つ身軽な子供はもちろん、多忙なサラリーマンがストレス発散に立ち寄ったり、フィットネス目的で通う女性も増えているそうだ。私が行きつけの歯医者の先生(30代前半)も、仕事の帰りや貴重な休日の楽しみがボルダリングになっているそうで、治療をしながらよく話が盛り上がる。

 ボルダリングはフリークライミングの形式の1つ。シンプルな装備で、道具や命綱を使わずに岩壁を上っていく。命綱がないため、5mぐらいの高さまでが一般的で、壁にはさまざまなルート(課題)が設定されている。そのため、クライミングと言っても高さや危険と隣り合わせのスリリングな要素よりも、バラエティに富んだルートの「難易度」に挑戦する面白さがある。次はどのホールド(突起や穴)に手(足)を置いたら少ない力で体重を支えられるか?など、戦略が必要になる点も魅力だろう。

【松原渓】

 ボルダリングが気になっていたのには、もうひとつ理由がある。それは、ボルダリング競技をやっているアスリートの身体が美しいからだ。全身が引き締まっていて、まさに全身運動の賜物(たまもの)、といった感じ。

 実際にボルダリングで使う筋肉は、前腕屈筋群(手首から前腕)、腕橈骨筋(前腕の太い部分)、上腕二頭筋(力こぶ)、広背筋、脊柱起立筋(腰)、腹直筋(お腹)、腹斜筋(脇腹)、大腿四頭筋(太もも)、ハムストリングス(太ももの裏側)、下腿三頭筋(ふくらはぎ)など、10箇所以上にもなるらしい。ダイエットにも、筋力アップにも、この上ないエクササイズではないか。

 上に向かって反るようなカーブを描く壁を忍者のように登るボルダラーの映像や写真を見ると、カッコイイなぁとほれぼれする。プロフリークライマーで、日本人女性で初の世界一に輝いた野口啓代さんは、クライミングシューズとチョーク(滑り止め)さえあれば始められる手軽さも競技を始めたきっかけだったとか。お金がかからず、思い立ったらすぐに始められる気軽さも見逃せない。

握力や腕力のない人でもカバーできる

 私がこれまで親しんできたスポーツはサッカーやフットサル、登山や自転車など、下半身を使うものが多かった。そのためか、私は上半身にまったく筋肉がない。握力に至っては両手とも「20」(同年代の握力平均は「29」)という、なんとも情けないありさま……ついでに、高所恐怖症。だからボルダリングは正直「自分には向いていないスポーツ」だと思っていた。

 でも、実はそういった要素はあまり関係ないということが、これまでに2、3度挑戦してみて分かってきた。私のように握力や腕力のない人間でも、足の使い方や、重心の置き方で十分カバーできるのだ。

 外から見ると難しそうなのに、登ってみると意外と楽に進めるルートが多く、逆に、簡単そうに見えて難しいルートもある。しかも、次の日は全身が筋肉痛に……。普段は使わない筋肉たちが刺激されて、嬉しい悲鳴を上げるのだ!

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著者プロフィール

サッカー番組のアシスタントMCを経て、現在はBSフジにて『INAC TV』オフィシャルキャスターを務める。2008年より、スポーツライターとしての活動もスタート。日テレ・ベレーザの下部組織であるメニーナのセレクションを受けたことがある。『キャプテン翼』の原作者である高橋陽一先生が監督を務める女子芸能人フットサルチーム「南葛シューターズ」にて現在もプレー。父親の影響で、幼少時から登山、クロスカントリー、サイクリングなど、アウトドア体験が豊富。「Yahoo!ニュース個人」(http://bylines.news.yahoo.co.jp/matsubarakei/)でも連載中

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