初の大会を終えた21U代表の大義 国際舞台で育った世代がつなぐ球界の未来

室井昌也

あと一歩だった初代王者の座

決勝は0対9で敗れ、初代王者を逃した21U侍ジャパン。次の大舞台が3年後の第4回WBCだ 【Getty Images】

 11の国と地域の21歳以下の選手(※)が出場する野球の国際大会、第1回IBAF(国際野球連盟)21Uワールドカップ。日本は16日に行われた決勝戦で台湾に0対9と大敗。1、2次ラウンドと7戦全勝で勝ち上がってきたが、大一番で敗れ、初代王者とはならなかった。

 今回が初開催となるこの大会。各チームの力の入れようはまちまちで、IBAFの世界ランキング1位・米国と3位・キューバは不参加。優勝した台湾は、来季から埼玉西武でプレーする郭俊麟を含めてプロ3人、アマチュア21人という選手構成だった。

 一方、プロ16人、アマ8人(うちドラフト指名者2人)が集まった日本。その中には1軍で活躍する中村勝、上沢直之、近藤健介(いずれも北海道日本ハム)、鈴木誠也(広島)らも含まれていた。日本の21U代表に持つ大義。それは侍ジャパンの旗の下、「将来のトップチーム入りを目指す」というものだった。決勝戦に敗れた後、21U日本代表の平田勝男監督(阪神)はそのことを踏まえ、淡々とこう話した。

「自分の力を出せるか出せないかの差だった。選手にはいい経験になった。勝負事はこういうところで勝たなければならない。選手たちはこれから日本の野球界を引っ張る存在にならなければいけないのだから。そのために今回の悔しさを糧に大きくなってほしい」

※オーバーエージ枠として1991、92年生まれの選手も最大6人まで登録が可能

日本代表の節目とともに育った世代

 将来の野球界を担う21歳。彼らは野球日本代表の節目とともに育ってきている。彼らが小学校に入学した2000年。日本はこの年行われたシドニー五輪に、初めてプロ選手が参加した。メンバーは松坂大輔、黒木知宏、中村紀洋、田口壮らプロ8人とアマ16人の混成チーム。アマの中には渡辺俊介、杉内俊哉、阿部慎之助、赤星憲広ら、のちにプロで活躍する選手たちも含まれていた。

 93年生まれが中学1年生になった06年。真の世界王者を懸けた戦い、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の第1回大会が行われた。30人のスター選手で構成された日本代表は、決勝戦でキューバを下し、世界一の座を手にした。

 そして彼らが、高校生活を始めた09年。松坂、イチローら5人のメジャーリーガーを含む28人は、キューバ、米国、韓国の強豪を倒し、大会2連覇を達成した。このメンバーの中からのちにダルビッシュ有、田中将大、青木宣親ら8人が海を渡り、米国でプレーしている。

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著者プロフィール

1972年東京生まれ。「韓国プロ野球の伝え手」として、2004年から著書『韓国プロ野球観戦ガイド&選手名鑑』を毎年発行。韓国では2006年からスポーツ朝鮮のコラムニストとして韓国語でコラムを担当し、その他、取材成果や韓国球界とのつながりはメディアや日本の球団などでも反映されている。また編著書『沖縄の路線バス おでかけガイドブック』は2023年4月に「第9回沖縄書店大賞・沖縄部門大賞」を受賞した。ストライク・ゾーン代表。

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