菊池涼介はメジャーの内野で通用するか? 小兵・アルテューベから感じる可能性

中島大輔

菊池のプレーに太鼓判

日米野球では好守にわたって存在感を発揮している菊池 【Getty Images Sport】

 菊池の目にアルテューベ、ロビンソン・カノ(マリナーズ)というメジャーの一流二塁手がどう映っているのか気になり、聞いてみた。

「彼らの感覚的な部分を見ていますが、ボールを捕ってから投げるまでが速い。特にゲッツーはそうですね。ああいうプレーを僕ら(日本人)がしたら、コーチに怒られます(笑)。メジャーだからやれる部分もある。それと形にとらわれず、いろんなところから投げていると感じます。どんな体勢でも投げられるのは、単純にすごい。そういう小さなところを見ていますね」

 第1戦の3回1死、菊池はベン・ゾブリスト(レイズ)の放った一、二塁間を抜けようかという当たりを素早い反応で回り込んでから捕球し、きれいに1回転してから送球してアウトにした。日本代表として日米野球史上初のノーヒットノーランの懸かった第3戦の9回1死では、カルロス・サンタナ(インディアンス)の放った強烈な当たりを逆シングルで難なくさばき、その後の快挙につなげている。

「守備を見ていても、バッティングを見ていても、菊池はメジャーで通じる選手だと思う」

 リップサービスが含まれているかは分からないが、アルテューベは明言していた。

菊池本人も自信を深めつつある日米野球

「セカンドの菊池の守備はメジャーでもトップクラスだと思います」

 開幕前に侍ジャパン・小久保裕紀監督はそう話していたが、菊池は打撃面でも初戦で2打数1安打、2四球と2番打者の役割を果たすと、続く2戦目では3安打を放ち猛打賞を記録している。しかも、ヒットの内容が素晴らしい。菊池自身、手応えのある様子だ。

「シーズン中には、追い込まれてからポンと当てるようなのもありました。でもそういうヒットではなく、(クライマックスシリーズから)期間が空いた中で、シーズン中の感覚に早く戻ってこられて良かったです」

 カノたちが見せるゲッツーでの速い送球について、「メジャーだからやれる部分もある」という発言は、「自分もできる」という気持ちが心底にあるのではないだろうか。日米野球でメジャーリーガーと対峙(たいじ)し、自信を深めているに違いない。

 菊池なら、メジャーで二塁手として活躍できるかもしれない――。

 日米野球を見ていると、そう思わずにはいられない。少なくとも今回の舞台で、菊池はアルテューベやカノより躍動している。

2/2ページ

著者プロフィール

1979年埼玉県生まれ。上智大学在学中からスポーツライター、編集者として活動。05年夏、セルティックの中村俊輔を追い掛けてスコットランドに渡り、4年間密着取材。帰国後は主に野球を取材。新著に『プロ野球 FA宣言の闇』。2013年から中南米野球の取材を行い、2017年に上梓した『中南米野球はなぜ強いのか』(ともに亜紀書房)がミズノスポーツライター賞の優秀賞。その他の著書に『野球消滅』(新潮新書)と『人を育てる名監督の教え』(双葉社)がある。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント