パナソニックの連覇を阻むのはどこか? V・プレミアリーグ男子 14−15展望

田中夕子

昨シーズンを制したパナソニック。川村新監督のもとで連覇を狙う 【坂本清】

 バレーボール男子の国内最高峰リーグ、V・プレミアリーグが15日に愛知・パークアリーナ小牧で開幕する。

 日本で開催される国際大会も多く、2012年ロンドン五輪での銅メダルや、今夏のワールドグランプリファイナルで銀メダルを獲得するなどの好成績を残し、国内の注目度は女子ばかりが高いのが現状ではあるが、男子バレーだからこその楽しみが、いくつもある。

 5カ月にも及ぶ長い戦いであるV・プレミアリーグ。男子大会の見どころを紹介したい。

「役割」を意識して連覇に挑むパナソニック

 まず、昨年の覇者で唯一「連覇」を狙える権利を持つパナソニックパンサーズは、全日本監督に就任した南部正司監督からバトンを受け、川村慎二新監督が就任した。昨年までは自身も現役選手として活躍、チャンスボールはチャンスとして正確に返し、相手ブロックが立ち並ぶ時にはわずかな隙間を狙い、ブロックに当ててポイントを取る。相手チームの選手からすれば、ドカンと派手な攻撃を決められるよりも、よっぽど嫌な役割を果たしていた選手でもあった。

 選手から監督へ。立場を変えて迎えた今季、チームに掲げたスローガンは「役割」。自身がそうであったように、たとえ目立たなくても点を取るためにそれぞれが果たすべき役割があり、そのためにはどんな技術、体力、精神力を備えなければならないのかを説いてきた。

 確かにパナソニックは全日本でも活躍する清水邦広、福澤達哉といった攻撃陣や、新司令塔としてスピーディーなトスワークでルーキーながら昨年の優勝を経験した深津英臣など、1本1本のプレーに華があり、目を引く選手が多い。しかし、その裏には攻撃を組み立てるためには正確で、献身的なパスができてなおかつコート内を統率できるリベロの永野健。相手からすれば絶好の攻撃チャンスと思ったところでワンタッチを取り、ラリー中にもクイックで得点するミドルブロッカーの白澤健児など、一見すれば目立たないが、チームが勝つための“役割”をこなせる実力を持った選手がそろう。

 タレント集団と見られがちだが、勝利のたびに「チーム力」を強調する通り、得点できる能力を持った選手、得点に結びつけられる能力を持った選手がそろった抜群の組織力を誇るチームでもある。その真髄を知り、体現してきた川村新監督がどんな采配を見せるのか。勝敗の行方だけでなく、大きな楽しみとなることだろう。

ブラジル代表のオポジットが加入したJT

JT悲願の初優勝に向け、全日本の主将・越川はどんなプレーを見せるのか 【坂本清】

 そのパナソニックに決勝で敗れ、悲願の初優勝を逃したJTサンダーズ。イゴール・オムルツェン、越川優といった1本のサーブで得点する“ビッグサーバー”を擁し、勝負所でのサービスエースも昨年のリーグでは大きな武器でもあった。

 今季、イゴールは豊田合成トレフェルサに移籍しチームを離れたが、代わって加入したのがブラジル代表のオポジット(スーパーエース)として今夏の世界選手権で銀メダルを獲得したレアンドロ・ヴィソット・ネヴェス。212センチと圧倒的な高さを誇る選手ではあるが、単なる「高さ」だけでなく、高い打点からコートの後方を的確に狙う技術、機動力も備えている。1年目からチームの戦術にうまくフィットすれば、優勝を狙うJTにとっては大きな戦力となりそうだ。

 さらに今季からは、全日本でも主将を務める越川が、JTでも主将に就任した。前述のサーブや、スパイクなど、華やかなプレーでパナソニックの清水や福澤と同様に会場を沸かせる選手の1人であり、イタリア、セリエAで3シーズンプレーするなど豊富な経験を持つ選手だ。競り合った場面や、勝負所での強さは日本選手の中では右に出る者がいないと言っても過言ではない。ポイント制が導入され、1点や1勝が昨シーズン以上に重要になりそうな今シーズン、JT悲願の初優勝に向け、試合終盤や勝負所での越川のプレーにも注目だ。

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著者プロフィール

神奈川県生まれ。神奈川新聞運動部でのアルバイトを経て、『月刊トレーニングジャーナル』編集部勤務。2004年にフリーとなり、バレーボール、水泳、フェンシング、レスリングなど五輪競技を取材。著書に『高校バレーは頭脳が9割』(日本文化出版)。共著に『海と、がれきと、ボールと、絆』(講談社)、『青春サプリ』(ポプラ社)。『SAORI』(日本文化出版)、『夢を泳ぐ』(徳間書店)、『絆があれば何度でもやり直せる』(カンゼン)など女子アスリートの著書や、前橋育英高校硬式野球部の荒井直樹監督が記した『当たり前の積み重ねが本物になる』『凡事徹底 前橋育英高校野球部で教え続けていること』(カンゼン)などで構成を担当

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