カノ、ハーパーらMLBスターに注目を 日米野球で侍ジャパンが激突

杉浦大介

怪物・プイグ、悪役キャラのようなスケール

昨年6月のメジャーデビューから一気にスター選手の仲間入りを果たしたプイグ。スピード、パワーともメジャーレベルを突き抜ける 【Getty Images】

 野球マンガの悪役キャラのようなスケールの大きさを感じさせるメジャー最大の風雲児。5度目の挑戦にして、命からがらキューバから新大陸にたどり着いたという亡命のプロセスからすでに伝説的だった。そのヤシエル・プイグ(ドジャース)は昨年6月にメジャーデビューを飾ると、最初の1カ月で打率4割3分8厘、7本塁打という超人的な爆発。この2年のトータルでも通算打率3割5厘、合計35本塁打を放ち、“短期間のセンセーションで終わるだろう”という懐疑の声もすでに消えうせた。

 スイングスピード、打球の飛距離、鉄砲肩といったすべての長所がメジャーレベルでも飛び抜けている。無鉄砲に暴走したり、他の外野手の守備範囲の打球も取りに行ったりといった欠点もどこかフィクション的。現実離れしているという意味では今回のロースターでもNo.1で、その怪物の動きから日本のファンも一瞬たりとも目を離すべきではない。

祖母の故郷に立つ、日系右腕ガスリー

ガスリーは今季ロイヤルズ快進撃に大きく貢献。ワールドシリーズまで戦った自己最高のシーズン、その最後は祖母の故郷で締めくくる 【Getty Images】

 投手陣はやや手薄な中で、先発の軸になりそうなのはメジャー通算83勝のベテラン右腕ジェレミー・ガスリー(ロイヤルズ)だ。今秋はロイヤルズの主力の1人として、青木宣親らとともにワールドシリーズ進出に大きく貢献。好不調の波の激しさで知られてきたが、過去2年連続で13勝以上を挙げるなど近年は以前より安定した印象もある。

 モルモン教の布教活動でスペインに駐在していたこともあるという変わり種。母型の祖母が日本人だけあって、顔つきには東洋人の面影が残る。ワールドシリーズではジャイアンツのトラビス・イシカワとシリーズ史上初の日系人対決を演じ、少々ユニークな歴史を刻んだ。

 メジャー10年目にして初のプレーオフ進出、ワールドシリーズ第7戦で先発、日米野球のメンバーにも選出……ガスリーにとって2014年が自己最高のシーズンだったことは間違いない。初対面の記者とも爽やかにあいさつを交わす好漢は、豊潤の1年の最後に、祖母の故郷でどんなピッチングを見せてくれるのだろうか。

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著者プロフィール

東京都生まれ。日本で大学卒業と同時に渡米し、ニューヨークでフリーライターに。現在はボクシング、MLB、NBA、NFLなどを題材に執筆活動中。『スラッガー』『ダンクシュート』『アメリカンフットボール・マガジン』『ボクシングマガジン』『日本経済新聞・電子版』など、雑誌やホームページに寄稿している。2014年10月20日に「日本人投手黄金時代 メジャーリーグにおける真の評価」(KKベストセラーズ)を上梓。Twitterは(http://twitter.com/daisukesugiura)

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