F1チーム経営難、話題の理由は可夢偉=赤井邦彦の「エフワン見聞録」第33回
当初から問題を抱えていたケータハム
ケータハムの危機に、ファンが注目するのは、小林可夢偉が在籍するから 【LAT】
今回の経営危機に見舞われている2チームのうち、ケータハムはそのスタートから問題を抱えていた。2010年にトニー・フェルナンデスが“ロータス・レーシング”の名前でF1に参戦した際、同チームは名称使用権問題に翻弄(ほんろう)された。ここでその経緯を詳しく述べることはしないが、恐らくフェルナンデスはこの時、F1界にまん延する権利問題の煩雑さのために、チーム運営に興味を失っていたのだと思う。おまけに成績はボロボロだった。ケータハムF1チームに名前が落ち着いてからも、成績はサッパリ。
今年初め、ふがいない成績に業を煮やしたフェルナンデスは「成績不振が続くようであればF1から撤退する」とチームのスタッフに忠告もしていた。12年にケータハムになってから、選手権ポイントを1点も獲得していなかった。
繰り返されるチームの経営難
しかし、ここであらためて書いておくが、今回ケータハムとマルシャを襲ったF1チームの経営難は、何も今に始まったことではないということ。F1の長い歴史の中では何度も何度も繰り返され、チームは生まれては消え、買い取られては売り飛ばされてきた。まあ、いわばF1の世界では日常茶飯事である。参考にいくつかのチームを挙げておくと、オーナーが逮捕されたアンドレアモーダ、エンジン代を支払えなかったフォルティコルセ、約37億円の負債を抱えて倒産したプロストをはじめとして、カウーゼン、ライフ、オニクス、パシフィック、リアル、シムテック……と枚挙にいとまがない。
2015シーズンへ、気になる可夢偉の行く末は
もし、小林がケータハムに乗っていなかったら、ケータハムがどうなろうと、日本人F1ファンにとればどこ吹く風だったに違いない。「ケータハムがつぶれたよ」「マルシャがやばそうだぜ」、と誰かが言っても、ファンは「あ、そ」と返事をするだけだっただろう。しかし、現実に小林はケータハムのドライバーであり、そのケータハムが存亡の危機にあるのだから、日本人F1ファンは心配するのである。
しかし、今シーズンの小林に関して心配することはもうやめてもいいのではないだろうか。彼にとってより重要なのは来シーズン以降の身の振り方で、そこに関して我々は心配するというより期待したい。ただ、アメリカGPの現場で小林はホンダに秋波を送る発言をしたようだが、秋波を送るということは現状として何も決まっていないことを公言したようなもの。ここはもう少し冷静に言葉を選ぶべきだったように思う。グローバル・スポーツの世界は難しい。
『AUTOSPORTweb』
【AUTOSPORTweb】
- 前へ
- 1
- 次へ
1/1ページ