箱根駅伝を目指す“非強化校”の強化 立教大学生記者が見た予選会の戦い
関東学生連合選出までもう一歩だった
学内トップとなった大西政徳(2年)。今後の成長次第では関東学生連合のメンバー入りも狙えるだろう 【「立教スポーツ」編集部】
そんな中でも気を吐いたのは2年の大西政徳。序盤から前に出て集団走を離れ、積極的なレースを展開する。最初の5キロを想定タイムを上回る15分28秒で通過すると、その後のラップタイムも15分42秒を維持。残りの5キロは16分5秒とペースを落としたものの1時間2分57秒の学内トップでゴールした。
「一人だったので不安もあったが、周りの選手の動きも見ながら落ち着いたレース運びができた」(大西)
大西は昨年の夏、けがで思うように練習ができず、長い距離に対応することができなかった。今年は故障をしないように意識しながら、距離を踏むことに重点を置いて練習を続けてきたことが、今回の記録につながった。
大西の順位は190位。選抜チームとなる関東学生連合には1時間2分40秒までの選手が選出されただけに非常に惜しい結果となった。しかし、全国高校駅伝の常連校である宮崎・小林高出身で地力のある大西だけに、来年以降の選抜メンバー選出に期待が懸かる。
今回の大西の結果について、自身も第84、85回大会で学連選抜(当時)のメンバーとして箱根路を走った中村嘉孝コーチも「(選抜への)距離が短く感じ、現実的になってきた」と評価する。
大西と同じ2年次に中村コーチが走った時の記録は1時間3分46秒。ここから学連選抜に選出された3年次には1時間1分32秒と2分以上タイムを縮めることができた。一方、大西のタイムは1時間2分57秒。今後、順調にタイムを伸ばせば、選抜メンバーへの選出は非現実的な話ではないだろう。
個々の強化からチームの総合力へ
立教大陸上競技部は特別な指導者や、寮などは存在しない、いわゆる“非強化校”の大学である。ただ、学生主体となって練習メニューや合宿の日程などを考えて、取り組んでいく姿はこの部の大きな特徴であり、『自由の学府』である学校の特色であると言える。その中で個々の選手が強化を図り、学生連合への選出がかなうことで、箱根駅伝は“夢の舞台”ではなく、現実の戦う舞台となる。そうなれば、ほかの選手たちも「自分も実際に箱根路を走るんだ」という意思が強くなり、チームとしての総合力の向上、そして半世紀近く離れていた本戦出場も現実味が帯びてくるはずだ。
27回の出場で最高成績は3位。伝統の『R』を胸に、新春の箱根路を駆けることをいつか再びかなえてほしい。
(取材・文:「立教スポーツ」編集部 藤井俊)