鋼の王朝に挑む“運命”のロイヤルズ 1勝1敗で舞台は敵地サンフランシスコへ
強力3枚クローザーを擁するロイヤルズ
ライトスタンド後方にサンフランシスコ湾を望むAT&Tパーク。第3戦からはここがワールドシリーズの舞台となる(写真は2012年のワールドシリーズ) 【写真:ロイター/アフロ】
ただ……こうやって一部のライターに訳知り顔で低評価されることも、ロイヤルズにとっては望むところなのかもしれない。アスレチックス、エンゼルス、オリオールズと、今年のプレーオフではどのチームとの対戦でも、大方のメディアから形勢不利と指摘されてきた。そんな逆風の中でも、日替わりヒーローと、何より強力ブルペンの活躍で前に進んできた。
「先発投手は6回までリードを守るか、同点で抑えてくれれば、仕事を果たしたことになる。第2戦でもまだ同点だった6回の時点で、次の得点を挙げたチームが勝者になると確信していたよ」
ロイヤルズのネッド・ヨスト監督の言葉からは、ケルビン・ヘレラ(Kelvin Herrera)、ウェード・デービス(Wade Davis)、グレグ・ホランド(Greg Holland)の“HDH”を中心とするブルペンへの絶対の自信が透けて見える。
リーグ優勝決定シリーズではオリオールズ打線を被打率1割7分2厘に抑えた“HDH”は、第2戦でも6回表1アウト以降にジャイアンツを12打数1安打6三振に封じて零封。100マイル(約160キロ)前後の速球を連投する3枚クローザーの攻略はさすがのジャイアンツにも難しく、今後も6回までの戦いがポイントとなるはずだ。
勝負を決するサンフランシスコへ
「敵地でやることはもう慣れているし、そのへんはハンディにならない」
自信に満ちた青木の言葉通り、ロイヤルズは“運命のチーム”らしいたくましさをアウェーでもう一度発揮できるか。それとも、一時代を築き上げるジャイアンツが鋼の強さを再びアピールするのか。
決戦の地はサンフランシスコ―――。終盤イニングにはジャーニーの“ドント・ストップ・ビリービング(信じることをやめるな)”が大音量で流れるAT&Tパークは、ワールドシリーズ開催にふさわしい美しいスタジアムである。ここでの3試合が終わるころには、王朝か、運命か、どちらを信じるべきかがはっきりと見えてきているに違いない。