米国メディアが見た、日本人投手の今季 田中、ダル、岩隈、黒田…黄金期の到来
メジャー1年目で圧巻のピッチングを披露した田中。途中離脱したものの、13勝を挙げ強烈なインパクトを残した 【写真:USA TODAY Sports/アフロ】
振り返れば、13年は日本人投手の当たり年だった。ダルビッシュ有(レンジャーズ)、岩隈久志(マリナーズ)がア・リーグのサイ・ヤング賞投票で2、3位に入り、黒田博樹(ヤンキース)は8月時点でリーグ1位の防御率を残し、プレーオフでは上原浩治、田澤純一が快刀乱麻の投球でレッドソックスを世界一に導き……etc。
14年の日本人投手たちは、昨年ほどのインパクトを残せなかったのは事実ではある。それでも、特にダルビッシュ、田中将大(ヤンキース)、岩隈、黒田という各チームの主戦級として君臨する先発カルテットは、今季も少なからず存在感を誇示し続けたと言って良い。
手応えと悔恨をつかんだ田中将大
7年1億1550万ドル(約161億円)という巨額契約を受け取り、6月17日まで11勝1敗、防御率1.99という成績でサイ・ヤング賞候補となり、その後に右肘の故障が発覚し、リハビリを経てシーズン終盤に復帰し……投手の生涯を1年に凝縮したような波瀾万丈のシーズンは、見ている者に強烈な印象を残した。
20試合に先発して13勝5敗、防御率2.77という数字も堂々たるもの。2年連続でプレーオフを逃した消化不良のシーズンの中で、今季のヤンキースのハイライトを挙げるならば、ジーターの引退ツアーと田中の出現だった。
「今年はいろいろ経験させていただいたので、財産にはなっていると思います」
今季総括会見での田中の言葉からは、メジャーでも自身の持ち球が十分に通用した手応えと、1年を通じて働けなかった悔恨の両方がにじんで見えた。ジェットコースターに乗っているような1年目を終え、今後に彼がどんなキャリアを送ることになるかは実際に極めて読みづらい。
2カ月間の休養はポジティブな評価
「今季中に肘の故障で2カ月間の休養をとったことが、来季にポジティブに働く可能性はある。一昨年は日本シリーズまで投げ、その後に渡米し、期待度のおかげもあって、14年は前半から飛ばしたはず。もちろん肘痛の再発は不安でも、身体全体を休めるという意味では良かったとも言えるんじゃないかな」
『ニューズデイ』紙のエリック・ボランド記者はそう語っていた。一方、ケガの影響もあってこのまま停滞するか、あるいは故障が再発し、結局はトミー・ジョン手術を余儀なくされても誰も驚きはしないはずだ。近未来の予想は難しく、それゆえにスリリング。はっきりしているのは、2年目の来季も田中がメジャー屈指の注目選手であり続けることだけである。