“未完の大器”大田泰示が示す確かな成長……感じる次なる「可能性」

ベースボール・タイムズ

ファンを沸かせた「4番・大田」

“未完の大器”と呼ばれ続けてきた大田泰示。第81代4番打者としてグラウンドに立った男がCS、日本シリーズの鍵を握る存在となるか 【写真は共同】

 3年連続36度目のリーグ優勝から一夜明けた9月27日の横浜DeNA戦。デーゲーム、横浜スタジアムのスコアボードに「4番・大田泰示」の名が灯った。ドラフト1位入団からプロ6年目。“未完の大器”と呼ばれ続けた男が、巨人軍の第81代4番打者としてグラウンドに立った。

 主力を温存した中でのサプライズ起用だったが、「ベストのオーダーということですよ」とは原辰徳監督。結果、ショートゴロエラー、空振り三振、センターフライの後、8回2死二、三塁で迎えた第4打席でセンター前へしぶとく運ぶ2点タイムリー。4番としての初仕事をやってのけ、ファンを沸かせた。

 翌28日も「4番・中堅」でフル出場して5打数1安打。これで今季は39試合に出場(先発出場10試合)して、56打数15安打、2本塁打、11打点、打率2割6分8厘。特に9月23日の中日戦(ナゴヤドーム)、2年前にプロ初本塁打を放った記念すべき日の試合で2ランを含む3安打3打点の大暴れ。ツボにはまったときの爆発力をあらためて誇示。トータルの数字は決して傑出したものではないが、打席内で、ボールの見極め、粘り、変化球への対応など、確かな成長を見せている。

結果出すも半信半疑「今の段階では“たまたま”」

 巨人ファンも生え抜きのスター候補である大田の打席には、自然と胸が高鳴る。だが、プロ入り以来、長年待たされ続けたこともあり、まだ半信半疑の念を拭えない。
 元巨人の野球解説者・篠塚和典氏は言う。
「1軍に上がってきてからインパクトのある働きをしていることは確かです。ただ、打ったと言っても数試合だけ。まだ今の段階では“たまたま”と言われても仕方ない」

 同じくOBの仁志敏久氏も、「一瞬だけ活躍する選手などは多くいますからね。やっぱり年間を通して働いてこそ一流ですし、成長したと言えるでしょう」と注文を付ける。
 篠塚氏はさらに続ける。
「今までも守備や走塁でミスがあったりしましたから、そういう部分がまだまだ心配です。身体能力の高さは誰もが認めるところだから、あとはもっと頭を使ってプレーしてもらいたいね。今年はポストシーズンのメンバーに入れるでしょうから、そこでもう一度キッカケをつかんでほしいね」

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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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