錦織圭、勝敗分けるサーブ攻略と平常心=全米オープン決勝見どころ
錦織が優勝するためのカギ
チリッチ(写真)の武器であるサーブを 錦織はどう攻略するか 【写真:USA TODAY Sports/アフロ】
だが、錦織はツアー屈指の天才レシーバー。サーブのコースを読み、ビッグサーブに対しても試合が進むにつれて反応が良くなっていく。そんな錦織がチリッチのサーブをどう攻略するかが見どころの一つ。鉄壁のジョコビッチにすら負けなかった錦織のこと、ラリー戦になれば、必ずやゲームを優位に進めるだろう。
あとは、グランドスラム初の決勝の舞台で平常心を保てるかどうか。ジョコビッチは20歳のときの全米オープンでグランドスラム初の決勝進出を果たしたが、フェデラーに敗れ、「グランドスラムの決勝には想像を絶するプレッシャーと緊張感があった」と振り返ったことをよく覚えている。
今回、錦織が準決勝のあと、「グランドスラムの決勝という実感がまだない。マスターズシリーズの決勝を経験しているからかもしれない」と言っていたのは印象的だ。この平常心によって、初めてのグランドスラム準決勝でギアをさらに上げることができたのだろう。
だが、決勝はどうだろうか。2万3000人収容のスタジアムがどこまで埋まるか分からないが、その圧倒的な雰囲気にのまれないで戦えるか。逆に、ギアはまだ上がるかもしれない。これはもちろん、チリッチにも言えることで、両者の立場は同じなのだが……。
3人目の“新チャンピオン”誕生へ
ともに42歳。17歳のときの全仏オープンで、グランドスラム初の決勝進出にして栄冠を手にしたチャンに対し、イバニセビッチはウィンブルドンの決勝で3度負け続け、29歳のときにようやく悲願のタイトルをつかんだ。両者の異なる経験は、もしかするとこの試合に大きな影響を与えるかもしれない。
この10年間のグランドスラムで生まれた〈ビッグ4〉以外の新チャンピオンは、09年全米オープンのフアン・マルティン・デルポトロ(アルゼンチン)と今年の全豪オープンのワウリンカの2人しかいない。3人目は錦織か、それともチリッチか。いずれにしても、この初々しいファイナルがそれ自体、グランドスラムにおける歴史的一幕であると同時に、新勢力のさらなる高まりを促す出来事になることは間違いない。