“無冠の女王”ウォズニアッキが決勝へ=全米オープンテニス
“無冠の女王”ウォズニアッキが決勝進出を決めた 【Getty Images】
立ち上がりから激しい攻め合いに
快晴の昼下がりは風が強く、ウォズニアッキがやや、やり難そう。ファーストサーブが入らないと、ペンはセカンドから強烈なリターンで脅しをかける。この大会でバックハンドからの攻撃に自信をつけており、ラリー戦での力の出し入れはペンが一枚上手。揺さぶってからバックハンドのダウンザラインに再三ウイナーを飛ばした。
第1セットは互いにブレークポイントを与えず、サービスキープして3−3。ペンが第7ゲームにバックハンドのクロス、バックハンドのダウンザラインを決めて均衡を破ったが、ウォズニアッキも引き下がらない。持ち前のフォアハンドを強く深くつなぎ、長いラリー戦に我慢を重ねて、すぐブレークバックに成功。このブレークの応酬が第11、第12ゲームでも繰り広げられという肩の凝る展開でタイブレークにもつれ込んだ。
ともにベースラインからの打ち合いをプレースタイルとするが、どちらかと言えば、ペンの方がネットプレーもうまく、攻撃的で常に揺さぶりのチャンスをうかがっている。ここまで6度対決し、5勝1敗でリードしているウォズニアッキに心の準備があったにしろ、高い集中力を維持しており、かなりの覚悟を感じさせた。そこまでの1時間の内容で、その覚悟がペンにも伝わっただろう。微妙な温度差がタイブレークの短い世界では大きな差になる。ペンのバックハンドからのミニブレークで始まったが、ウォズニアッキはそこからの打ち合いを制して連続ミニブレーク。さらに辛抱強く2ポイントをキープしたところで、ペンが崩れた。ストロークのミスを続け、ウォズニアッキが先手を取った。
ペンが惜しくもリタイア
第2セットは、ペンが第2ゲームを先にブレーク。しかし、そこからウォズニアッキが強かった。第3ゲームのペンのサービスゲームでは、30−15からペンがネットに出たのを見たウォズニアッキが、バックハンドをペンのボディーに放った。ペンはうまくボレーで返したが、打球がわずかにコートを蹴って方向を変えた。これに対応するのはよほどの反射神経だが、ウォズニアッキはそれを拾い、後方はるかにロブを沈めた。これは大きなポイントだった。
30−30からウォズニアッキにダブルフォルト、フォアハンドのミスが続いてブレークバック。先にブレークされてもすぐ追いつく、このパターンにウォズニアッキの集中力が表れていた。第4ゲームは2本のブレークポイントをしのぎ、逆に第5ゲームをブレークし初めて先行した。
ウォズニアッキが4−3のリードで迎えた第8ゲーム、30−40からペンが足の痛みを訴えて治療中断に入った。コート上はかなり暑く、スタッフが氷を持って行ったことから、けいれんと思われるが、ルールではけいれんによる治療は認められない。本人はそう申告しなかったと思われる。ペンは、今年の全豪オープンの奈良くるみ(安藤証券)との試合でも同じようなアクシデントで敗れている。ペンは一度はコートに戻ったが、結局、リタイア。第1セットが素晴らしい内容だっただけに、残念な結末だった。
セリーナ、強風をものともせず圧勝
ナンバーワンに君臨しながらグランドスラムのタイトルがなく、“無冠の女王”と呼ばれたウォズニアッキ。セリーナの厚い壁を前に、果たして夢は開くだろうか。ドラマはいよいよ最終章を迎える。
(文:武田薫)
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