メルセデスの接触騒動で考える“宿命”=赤井邦彦の「エフワン見聞録」第32回
ベルギーGPのスタート直後、ハミルトンとロズベルグが接触。ハミルトンは大きく後退することとなった 【LAT Photographic】
何がどう動いたのか? 話題はふたつ。ひとつはメルセデスAMGのルイス・ハミルトンとニコ・ロズベルグの接触にまつわるいろいろ。ふたつめはケータハムの小林可夢偉とアンドレ・ロッテラーの交代。F1界全体を見れば、メルセデスAMGの騒動の方が大きな話題と言えるでしょう。だって二人はまさに選手権をリードしてチャンピオン争いに飛び込もうとしている矢先。この二人が接触してハミルトンのタイヤがバースト、ピットへ入り大きく遅れてしまったのだから、注目されるのは当たり前と言えば当たり前だ。
「ロズベルグに非がある」と公言したマネジメントの失態
実際に接触時の映像を見ても、ロズベルグが故意にぶつけたようには、私にはとても思えない。そもそもチームメートのタイヤをパンクさせようとしてぶつけるか? そんなに狙った運転ができるか? ましてやぶつけると、“なんとかボード”とか“かんとかウイング”とかゴチャゴチャと空力部品が付いている今のF1では、自分のクルマがダメージを被るのは避けられない。さらに言えば、チームメートをつぶして勝っても気持ちが良くないばかりか、禍根を残すこと必至だろう。ロズベルグだってそこまでばかじゃないでしょう。
ということは、「故意にぶつけやがった」と言ったハミルトンの方がよっぽどばかに違いない。そして、ぶつけられた彼がロズベルグを責めるということは、逆の立場を考えてみた時、「自分はロズベルグにぶつけるね」と言ってるようなもんだ。そして、そのハミルトンの言葉を信じたチームのマネジメント。どうかしているよ。
ハミルトンだって本当にぶつけられたんだと思っているなら、レースが終了したらロズベルグをぶん殴るぐらいしたらどうだ? 直接ロズベルグに言う前にインタビューでロズベルグを非難するなんて……。
優秀な二人のドライバーが生み出す悩み
イタリアGP(9月5日〜7日)を前に、一応チーム内は丸く収まったように見えるが、これから先、シーズンが終盤に入ると、二人のドライバー間の確執は激しさを増すはずだ。二人を自由に戦わせるという方針をとったメルセデス。その結果がかつてのアイルトン・セナとアラン・プロストの関係のようにならないとは限らない。そうなった後では遅いが、チームオーダーを出せばそれどころじゃ済まなくなるだろう。メルセデスのマネジメントは頭が痛いだろうが、優秀なドライバーを二人抱えたチームの宿命だと諦めるしかない。
おっと、今回はケータハムに関して書くスペースがなくなった。すぐに追いかけるように次回を書くのでしばらくお待ちを!
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