伊藤竜馬「僅差の敗戦」の向こう側 全米オープンテニス
世界との差は確実に縮まっているのに
善戦するも敗れた伊藤だが、世界との差は確実に縮まっている 【写真は共同】
そこまでの2セットでは、伊藤がポイント数で3ポイント、ウィナーの数でも2本上回る内容で展開していた。第3セットも互いにサービスゲーム・キープの4−4から、伊藤のサービスゲームは30−0。しかし、ここからふっと息が抜けたように、ダブルフォルト絡みで4ポイントを献上し、ブレークを許した。
続く第10ゲームで0−30と追い上げる雰囲気もあったのだが、ロペスがサーブのギアを上げて逃げ切り、セットカウントで2−1とリードされた。このセット、第6ゲームでロペスが2つのダブルフォルトを犯し、伊藤は15−40に2本のブレークポイントが転がったが、ここを攻めきれず、ロペスのきれいなネットプレーの壁を打ち破ることができなかったのが尾を引いた感じだ。
第4セットはともにアンフォーストエラーが目立ったが、リードをすれば、サーブ力で優位に立つロペスにはタイブレークを見据えた余裕が生まれる。伊藤のファーストサーブの確率が40%まで落ち、ストローク戦で主導権を握りながら思い切った勝負をかけられぬまま、タイブレークの3本目のマッチポイントを決められた。
伊藤は時速200キロ台のサーブを持ち、角度のあるフォアの強打で相手を再三、脅かした。世界との差は確実に縮まっているのに、あと一歩、もう少し……歯がゆさの残る試合だった。
錦織との二枚看板へ
錦織との二枚看板としてその成長に期待がかかる伊藤 【写真は共同】
運にも恵まれ、今年の全米オープンでは念願の1勝を得た。この好運を生かし、錦織との二枚看板の形成に繋げて欲しい。
波乱含みの大会5日目
第13シードのサラ・エラーニ(イタリア)はビーナス・ウイリアムズ(米国)に逆転勝ち。マリア・シャラポワ(ロシア)はサビーン・リシッキ(ドイツ)を倒し、キャロライン・ウォズニアッキ(デンマーク)はアンドレア・ペトコビッチ(ドイツ)を退けたが、第6シードのアンジェリーク カーバー(ドイツ)は、奈良くるみ(安藤証券)を破った17歳のベリンダ・ベンチッチ(スイス)に敗れた。
また、女子ダブルスでは、クルム伊達公子(エステティックTBC)とバーバラ ザラボバ・ストリコバ(チェコ)のペアが3回戦に勝ち進んでいる。
男子では第2シードのロジャー・フェデラー(スイス)、第7シードのグリゴール・ディミトロフ(ブルガリア)は危なげなく勝ち進み、第4シードのダビド・フェレール(スペイン)もバーナード・トミッチ(オーストラリア)の棄権をもらったが、第11シードのエルネスツ・ガルビス(ラトビア)が僚友のドミニク・ティエム(オーストリア)に敗れ、若手成長株の一人、イェルジ ヤノウィッツ(ポーランド)もここで姿を消した。
(文:武田薫)
- 前へ
- 1
- 次へ
1/1ページ