甲子園を沸かせた“ジャイアン”白根の現在=鷹詞〜たかことば〜

田尻耕太郎

理想の打撃は、右方向にも大きな打球を飛ばすこと

3軍を主戦場とする白根は「打撃で勝負したい」とプロでの生き残りに日々、汗を流している 【スポーツナビ】

 今シーズンはまだ3軍が主戦場だ。独立リーグや社会人との対戦がメインだが、春先は特に好調で5月末までに9本塁打と結果を出した。練習試合では、かつて巨人で開幕投手も務めた東野峻(オリックス)からヒットを放ったのも自信になったという。ただ、現在の悩みは次の一発が2か月半以上も出ていないことだ。

「高校時代も29本目から30本目は時間がかかったんです。1本出れば気分が違うんですが……」

 プロで勝ち抜いていくために、やはり打撃で勝負したいという。子供の頃から巨人ファン。憧れた選手は清原和博氏や二岡智宏氏だった。右方向にも大きな打球を飛ばす。そんな打者像が理想だ。

後輩に期待するインパクトのある試合

 母校の開星高は、今夏、白根が3年生の時に甲子園に出場して以来3年ぶりに“聖地”に戻ってきた。大会5日目の第2試合に登場し、大阪桐蔭高と激突する。

「じつは僕が2年の夏、そして3年の夏も初戦は大会5日目の第2試合だったんです。スゴイ偶然ですよね。相手は強豪ですから厳しい戦いになると思います。でも、もし敗れたとしても、インパクトのある試合をしてほしい。2年夏の仙台育英に負けた試合、じつはホームランを打っていますからね。3年ではこの夏優勝した日大三に8対11で負けましたが、僕らのチームの方が相手より多くヒットを打ったし(開星15安打、日大三13安打)、僕自身も4安打打ちました」

 インパクトならば、あのガッツポーズだって……。
「先日、『アメトーーク!』(テレビ朝日)で紹介されたらしいですね。僕は見ていないんですが、周りからたくさん連絡が来ました。あまりいいシーンではなかったけど(笑)。でも、たくさんの人の記憶に残るシーンとして印象づけられたのなら、それはそれで悪いばかりじゃないですよね」

 先日の3軍戦を観に行った際、ボテボテの内野ゴロでも一塁へ全力で駆け抜けてみせた。何ひとつ気を抜けない、それがプロ、と白根は言った。“ジャイアン白根”伝説〜プロ野球編〜はこれからである。

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著者プロフィール

 1978年8月18日生まれ。熊本県出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。2002年卒業と同時に、オフィシャル球団誌『月刊ホークス』の編集記者に。2004年8月独立。その後もホークスを中心に九州・福岡を拠点に活動し、『週刊ベースボール』(ベースボールマガジン社)『週刊現代』(講談社)『スポルティーバ』(集英社)などのメディア媒体に寄稿するほか、福岡ソフトバンクホークス・オフィシャルメディアともライター契約している。2011年に川崎宗則選手のホークス時代の軌跡をつづった『チェ スト〜Kawasaki Style Best』を出版。また、毎年1月には多くのプロ野球選手、ソフトボールの上野由岐子投手、格闘家、ゴルファーらが参加する自主トレのサポートをライフワークで行っている。

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