ラグビー日本代表に加わる「新戦力」 エディーHCは小瀧の成長を評価

斉藤健仁

豪快な走りを見せるヘスケス「目標は来年のW杯」

念願の日本代表候補入りを果たしたヘスケス 【斉藤健仁】

 NZ人のヘスケスは来日5年目で、日本代表資格を有している。「WTB藤田慶和(早稲田大3年)がケガをしているので、その代わりが必要。大きいし、強い。どれだけ早く慣れるかという伸びシロが見たかった」(ジョーンズHC)
 ヘスケス自身は来日3年目あたりから日本代表を意識し始めた。パートナーのカーラ・ホヘパは、女子のNZ代表で15人制の女子W杯でも優勝し、現在はNZの女子7人制代表でも活躍するなど世界の舞台で戦っていたことも「影響を受けましたね(笑)」。

 初の日本代表合宿に際して「うれしい!」と笑顔を見せていたヘスケスは、持ち前の腰の強さと力強いランで積極的にアピールした。「サニックスでは練習の内容も量も違うし、最初はストラクチャーの違いに戸惑った。日本代表ではもっと走って考えないといけない。目標は来年のW杯。チャンスだと思っています!」

帝京大・小瀧「W杯には出場したい」

194センチの長身を生かしてアピールした小瀧(中央) 【斉藤健仁】

 もう1人、エネルギッシュな若手FWがいた。LO小瀧尚弘(帝京大4年)だ。春シーズンは代表に選出されたもののケガのため、1日のみの参加だった。だが、今回の合宿は育成選手ながらフル参戦。キックオフではマイボールをキャッチし、接点で強さを見せて「フィジカルコンディションはすごく良くなっている」とジョーンズHCが目を見張るほど、他の選手とさほど遜色ないプレーを見せていた。

 スクラムコーチのマルク・ダルマゾはLOとしての組み方を教え、「(小瀧は)ハードワークするし、ポテンシャルもある」と言う元イングランド代表LOのスティーブ・ボーズウィックFWコーチがラインアウトやキャッチのスキルをマンツーマンで指導。LOはベテランが多く、一番年下でも真壁伸弥(サントリー)の27歳。若手の台頭が望まれているだけに、首脳陣の期待のも大きいようだ。

 小瀧は「得意としているラインアウトもまだまだでしたし、フィットネスでは全然、追いついていかない。自分のレベルがどのくらいか痛感し、良い刺激になりました」と言いつつも、「W杯には出場したい」と、素直に、まっすぐに来年への思いをプレーにぶつけている。

エディーHC「スペシャルな選手がいれば」

 W杯本番において、キャップ数、つまり経験値を重視しているジョーンズHCは「(実際には)言いませんが、来年のW杯のメンバーを言えます。ただWTB福岡堅樹(筑波大3年)のようなスペシャルな選手がいれば」と含みは残す。今回の合宿も「11月のマオリ・オールブラックス戦に向けての準備」と言いながらも、選手層をより厚くする意図がうかがえた。本番まで1年あまり。大きな成長を遂げて、きら星のごとく、メンバー入りを勝ち取る選手が出てくることこそが、エディー・ジャパンの強化につながる。

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著者プロフィール

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーとサッカーを中心に執筆。エディー・ジャパンのテストマッチ全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」、「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「ラグビー「観戦力」が高まる」(東邦出版)、「田中史朗と堀江翔太が日本代表に欠かせない本当の理由」(ガイドワークス)、「ラグビーは頭脳が9割」(東邦出版)、「エディー・ジョーンズ4年間の軌跡―」(ベースボール・マガジン社)、「高校ラグビーは頭脳が9割」(東邦出版)、「ラグビー語辞典」(誠文堂新光社)、「はじめてでもよく分かるラグビー観戦入門」(海竜社)など著書多数。

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