MLB球宴で躍動する「次の顔」は誰だ? “真夏の夜の夢”を彩るスターを一挙紹介

杉浦大介

23歳、キューバからやってきた怪童・プイグ

キューバから亡命し、今季も走攻守にわたって活躍を見せるプイグ 【写真:ロイター/アフロ】

 昨年、表舞台に登場してから、ダイナミックな攻守でセンセーションを巻き起こしてきたキューバ出身の風雲児、ヤシエル・プイグ(ドジャース)。尋常ではないバットスピードから目の覚めるような弾丸ライナーを放ち、ライトの守備でも周囲の度肝を抜くような強肩を披露する。軽率な凡ミスも少なくないが、そういった面まで含め、フィールド上では決して目が離せない貴重なエンターテイナーである。

 12年に亡命し、昨年6月にメジャーデビューを飾ると、最初の1カ月で打率4割3分6厘、7本塁打という爆発的な大活躍。シーズン通算でも104試合で打率3割1分9厘、19本塁打をマークすると、今季もここまで打率3割9厘、12本塁打と“2年目のジンクス”を吹き飛ばしてきた。もうまぐれでも何でもない。キューバン・エクスプレスは止まらない。まだ23歳の怪童の行方には、まさに洋々の未来が広がっているのだろう。

スタントンの飛距離は必見

飛距離ではMLBトップクラスのスタントン。球宴でも特大の一発が見られるか? 【写真:USA TODAY Sports/アフロ】

 ナ・リーグを代表する野手をもう一人挙げるなら、本来なら昨季MVPの万能派、アンドルー・マカチェン(パイレーツ)を選ぶべきかもしれない。しかし、そのマカチェン以上に分かりやすい魅力があるのが、常軌を逸した飛距離のホームランを放つジャンカルロ・スタントン(マーリンズ)である。

 前半戦では完全開花を感じさせる打率2割9分5厘、21本塁打という好成績をマーク。層の薄いマーリンズをプレーオフ争いにとどまらせる原動力となった24歳を、上半期のリーグMVPに挙げる関係者も多い。

 しかし、スタントンの真の魅力は、そんな数字や勲章を超えたところにある。ファンがあぜんとするような150メートル級の一発をこれまで何本も放っており、今季の1本塁打あたりの飛距離423.8フィート(約129メートル)もメジャー1位。“投手の時代”と呼ばれる現代において、打席に立てば“Must−Watch(必見)”の数少ない呼び物がこの怪物外野手なのである。

歴史に名を残す現役最高の左腕・カーショー

現役最高の左腕と評され、過去の名投手とも肩を並べる存在になりつつあるカーショー 【写真:ロイター/アフロ】

 前述のヘルナンデス以外にも、メジャーでは多くの好投手が活躍している。アダム・ウェインライト(カージナルス)、ジャスティン・バーランダー、マックス・シャーザー(ともにタイガース)、ダルビッシュ、田中……。ただ、その中でも、“現役最高の投手”がクレイトン・カーショー(ドジャース)であることに異論がある人は少ないのではないか。

 サイ・ヤング賞を過去2度受賞し、特に11年には最多勝、最優秀防御率、最高勝率の三冠を獲得。新たに7年2億1500万ドル(約226億円)の長期契約を結んで迎えた今季は故障でやや出遅れたが、6月18日のロッキーズ戦では自己初のノーヒット・ノーランを記録して完全復活。その後も好調期間は終わらず、7月10日までなんと41イニング連続無失点を続けて球界を再び感嘆させた。

 無失点記録を継続していたとき、ESPN.comのバスター・オルニー記者は、この球速、球威、変化球の精度をすべて備えたサウスポーを、サンディ・コーファックス、オーレル・ハーシュハイザー、ペドロ・マルチネスといった過去の名投手たちと比較していた。その素晴らしい投球を見れば、実際にどんな称賛も大げさに思えない。14年の“夢の球宴”で、私たちは今まさに全盛期にいる歴史的左腕の勇姿をマウンドに見ることになるのだろう。

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著者プロフィール

東京都生まれ。日本で大学卒業と同時に渡米し、ニューヨークでフリーライターに。現在はボクシング、MLB、NBA、NFLなどを題材に執筆活動中。『スラッガー』『ダンクシュート』『アメリカンフットボール・マガジン』『ボクシングマガジン』『日本経済新聞・電子版』など、雑誌やホームページに寄稿している。2014年10月20日に「日本人投手黄金時代 メジャーリーグにおける真の評価」(KKベストセラーズ)を上梓。Twitterは(http://twitter.com/daisukesugiura)

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