王者HIROYA Krushインタビュー「防衛して当たり前。もっと上を目指す」

株式会社グッドルーザー

トリプルメインイベントの大トリで初防衛戦に臨むKrush初代−65kg級王者HIROYA 【t.SAKUMA】

 7.13「Krush.43」(後楽園ホール)のトリプルメインイベント第3試合(第8試合)で行われるKrush−65kg級タイトルマッチで対戦する王者HIROYAと挑戦者・寺崎直樹インタビューが届いた。
 3月の「Krush.39」の1DAYトーナメントにて、準決勝でNOMANをハイキック、決勝ではTaCaをローキックでKOして初代−65kg級王者となったHIROYAが初防衛に臨む。K−1デビューから7年目での初タイトルにも満足せず、「僕はもっともっと上を目指しているので、ベルトは防衛して当たり前」と、さらなる高見を見据えているHIROYA。一方、挑戦者の寺崎はデビュー10年で初のタイトル挑戦のチャンスをつかんだ苦労人。“エリート”HIROYAを倒し、愛する家族のために悲願のベルト奪取なるか!?

HIROYA「今は相手をどうやって倒すかを考えるのが楽しみ」

トーナメントでは全試合KOで初代−65kg級王者に 【t.SAKUMA】

――3.8「Krush.39」で初代−65kg級王者となり、約4カ月が過ぎました。チャンピオンになってどんな変化がありましたか?

 チャンピオンになって何が変わったかと言われると、僕としては気持ちに余裕ができて、自分に自信を持てるようになりましたね。そこまで大きな変化ではないかもしれないですけど。

――ベルトを持っている、持っていないでは精神的に違いますか?

 自分ではポジティブな性格だと思っていても、なかなか結果を残すことが出来なくて……。ようやくベルトという形を手にしてスッキリした気持ちになりました。

――HIROYA選手がK−1デビューしたのが2007年。プロとしてチャンピオンベルトを手にするまで7年かかりました。

 年齢だけで言えばまだ22歳なんですけど、心境としては、やっとやっと(チャンピオンになれた)という、うれしさよりもホッとした方が大きかったですね。

――例えば格闘技ではどんなに強くてもチャンピオンになれない選手がいると思います。自分がそうなってしまうんじゃないかという不安はなかったですか?

 自分のことだからそうは思いたくなかったですけど、何回もチャンスがあったのに逃してきて、ここぞという時にダメだったり、少しは不安になることがありました。

――なるほど。しかし初代王座決定トーナメントでは全試合KOで頂点に立って、Krushの王座決定トーナメントで全試合KOでチャンピオンになったのはHIROYA選手が初です。

 あぁ……そうなんですね。結果・内容ともに成長しているのが分かるので、そういう形でチャンピオンになれたことはうれしいです。

――今大会では初防衛戦を迎えました。HIROYA選手の会見でのコメントなどを聞いていると、あまり防衛戦のプレッシャーなどはなさそうですね。

 はい。Krushでチャンピオンになれば、Krushでの試合はすべて防衛戦になるわけで、「絶対にこのベルトを死守する!」みたいに気持ちが守りに入ることはないですね。Krushのベルトを獲ったから終わりじゃないし、僕はもっともっと上を目指しているので、ベルトは防衛して当たり前。僕はその上を見据えています。

――チャンピオンになっても満足しているわけではない、と。

 最初に話したようにベルトという形は本当に大事なことだし、これからも守り続けます。でもいい意味でベルトにこだわっていないというか、これまで通りベルトに縛られず、自由に戦っていきたいです。

――そこには選手として成長しているという実感もありますよね?

 はい。今まで練習ではできるのに試合でできないことが多かったんです。でもノップ(ノッパデッソーン)が来てから、軸がしっかりしてぶれなくなったし、試合中にいろいろと考えて戦えるようになりました。

――試合が楽しみで早く戦いたいくらいですか?

 楽しみです、本当に。今は相手をどうやって倒すかを考えるのが楽しみで、パンチでもローでもハイでも、どんな攻撃でも倒せる自信があります。試合までに戦略を練るのはもちろん、試合中にもいろいろと技を組み立てていけたら面白いだろうなと思います。

――そして初防衛戦の相手が寺崎選手に決まりました。対戦カード発表会見で「正直驚きました」という言葉があったようにHIROYA選手としては意外な相手でしたか?

 そうですね。でもKrushはインパクトある勝ち方をすればチャンスが巡ってくる舞台なので、寺崎選手が挑戦者になってもおかしくはないと思います。ただ(寺崎が)実力的にタイトルに挑戦するレベルではないと思う部分もありますけど、根性もあるし一発もある。怖さがない選手ではないので、舐めるのではなく、しっかり倒して勝ちたいです。

――チャンピオンになったHIROYA選手には周りも含めていろんなことを期待していると思います。

 今回は自分がチャンピオンとしてトリプルメインイベントの大トリを務めることになります。こういう形でメインを任されるのも初めてのことだし、プレッシャーに感じることはないですが、イベントそのものも盛り上げたいと思っています。

――今回の防衛戦をきっちりクリアして、さらに大きな飛躍につなげたいですか?

 はい。11月のK−1も楽しみですし、またムエタイの試合にもチャレンジしたい。試合以外でも台湾のジムからセミナーの話をいただきました。Krushのベルトを巻いたことでいろいろなチャンスや可能性が広がっているので、そこでいろんなものを吸収して選手としても人間としても成長していきたいです。

寺崎「家族や支えてくれる人たちのためにベルトを獲りたい」

――4.15「Krush.40」では西川康平選手にKO勝利し、約2年半ぶりの勝利を収めました。

 2012年のWILDRUSHリーグがあんな無残な結果に終わってしまって(4敗1分)、梶原(龍児)戦(2013年9月)は勝つことを目的にするよりも「プロとして何を見せられるか?」を心に決めて戦って、そういう意味のある試合でした。だから西川戦は本当に勝ちにこだわっていて、打ち合おうと思えば打ち合えたのですが、そこはグッと我慢して。チャンスをうかがいながら戦って、3Rに右のパンチを当てた時、ここが勝機だと判断して最後の最後で倒すことができました。なので結果としてはすごく良かったです。

――かなり激しい試合でしたが、寺崎選手としては勝ちに徹した試合だったのですね。

 そうですね。梶原戦のように1Rからガツガツいけたのですが、新しい自分を見せたくて、ああいう戦い方になりました。

――西川戦の勝利が評価され、今回のタイトル挑戦が決まりました。寺崎選手にとってはキャリア初のタイトルマッチです。

 デビューして10年、ケガや仕事で練習ができなかったり、いろんなことがありました。10年目にしてやっとそれまでのいろんな想いが届いたなという気持ちです。

――このタイミングでタイトルに挑戦する姿は想像していましたか?

 正直、今の自分がタイトルに挑戦する姿は想像していませんでした。ただいつもそうなんですけど、いろんなアクシデントや出来事が起こった時、その都度、違う目線でいろんなことを感じることができるので、今はもう気持ちを切り替えてチャンピオンベルトを獲るだけです。

――寺崎選手にとってチャンピオンベルトとはどんなものですか?

 デビューして3〜4年の頃は自分のために獲るものだと思っていました。自分が有名になりたいとか目立ちたいとか……それがベルトを獲る目的でした。でも負けを経験することで、自分にとってのベルトの価値は変わってきました。今、自分には妻と息子がいて、12月には二人目の子供が生まれる予定です。自分のためだけではなくて、家族や支えてくれる周りの人たちのためにベルトを獲りたいです。

――ベルトを巻く姿を子供に見せたい?

 (即答で)見せたいです。それを見せることで、息子が「自分の親父は格闘技のチャンピオンなんだ」と自慢してくれて、大きくなった時に僕の背中を追ってくれたらいいな、と。そういうことを思いますね。だからこそ自分のためじゃなくて、家族や仲間のためにベルトを獲りたいと思います。

――自分のためと家族や仲間のため。力の源が違いますか?

 はい。今まで自分のためにいろいろやってきたんですけど、それでは力が弱いんですよ。それよりも人の想いを背負った方が底力は強いと思います。

――10年分の想い、家族や周りへの想い。初のタイトル挑戦ですが、寺崎選手にとっては重いタイトルマッチですか?

 集大成です。集大成としてベルトを獲りに行きたいです。

――チャンピオンのHIROYA選手にはどんな印象を持ってますか?

 K−1に出ていた頃から見ていた選手で、Krushでも同じ日に試合をして控室が同じだったこともありました。その時、HIROYA選手は負けてしまったんですが、控室に戻ってきた時の表情を見て、彼もどん底を経験しているんだなと思いました。そういったどん底の時期を経験して、初代王座決定トーナメントでベルトを巻いた。きっとHIROYA選手も最後(のチャンス)のつもりで練習をしてきたと思うし、だからこそすごく強くなったんだなという印象があります。その上で彼はKrush−65kg級でチャンピオンにいる選手で、僕が挑むにはすごくいいタイミングとシチュエーションだと思います。

――簡単に言ってしまうとエリートのHIROYA選手と下積みからやってきた寺崎選手という見方もある試合です。

 確かに周りはそう捉えるかもしれません。でも自分の中で他人がどうとか、いい境遇にいるからとかは思わないようにしています。それよりもそういう人間に自分がどう太刀打ちできるか、どこまでできるのかを重視しています。だから相手に対して、というのは関係ないです。ゴングが鳴れば一対一の男と男の勝負だから、それには負けられないです。

――ずばりどんな試合を見せたいですか?

 どんな結果になるかはやってみないと分かりません。僕はあきらめない気持ちを前面に出してお客さんに何かを感じてもらって、最終的には自分と家族と仲間たちが笑っていられるような、そんな試合にしたいです。
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