ギリシャが誇るべき12人目の選手たち 代表チームの応援はプライスレス
ユーロ優勝、もう1つの原動力
筆者はギリシャのサポーターは世界有数だと語る。厳しい経済状況にもかかわらず、国内には応援ムードが浸透している 【写真:Maurizio Borsari/アフロ】
先に言っておくべきだろう。私はギリシャ代表チームが嫌いである。彼らの守備的な戦い、退屈な試合、オープンな展開を避けてカウンターの好機を待つ戦術。どれも嫌いだ。ワールドカップ(W杯)ブラジル大会でも、彼らのプレースタイルは予想通りだった。グループリーグの3試合でわずか2得点。最初の2試合など、コロンビアに0−3で敗れ、日本とはゴールレスドローを演じ、見せ場のないまま無得点に終わった。さらに第3戦のコートジボワール戦でさえ、相手MFシェイク・イスマエル・ティオテのミスに乗じた1点と、PKによるゴールの2得点だけ。ベスト16のコスタリカ戦こそ、相手が途中で退場者を出したこともあり少しは攻撃的に戦ったが、わずか1得点に終わり、PK戦の末に姿を消した。
私は毎夏のように休暇をギリシャで過ごすし、ギリシャ人もギリシャという国のことも好きだが、前述の通り代表チームは絶対好きになれない。彼らのサポーターの話をお伝えする前に、ギリシャ代表に対して特別な思い入れがないことだけは明確にしておきたい。
国内には応援するムードが浸透
コートジボワール戦の試合前、オーストラリアのシドニーからギリシャを応援にきていたスピロス・パパドプーロスさん(53歳)は、こう話していた。
「私たちは04年にポルトガル、ユーロ2008にはオーストリア、10年W杯の南アフリカ、そしてユーロ2012のためにポーランドにも行ったよ。私たちは、どこで大会があろうと必ず代表チームの応援に駆けつけるよ。ユーロ2004での信じられない幸せと歓喜を経験してしまったので、そのあとはユーロとW杯には必ず足を運んでいるんだ。われわれは代表チームを誇りに思っているし、彼らを愛している。だからブラジル大会も見逃すわけにはいかなかったのさ。馬鹿みたいな額の出費になったが、そんなの関係ないね。こうやって代表チームを追いかけることはプライスレスなんだ」
ギリシャには代表チームを応援するムードが浸透していた。ギリシャの航空会社、エーゲ航空は、ギリシャ代表チームを応援するテレビCMを作成。航空会社のスタッフたちが、あたかも試合前の選手たちのように腕を組んで胸を張るというもの。多くのスタッフを動員して動画を作成し、これをネットで広めるように国民に訴えかけると国中に広まった。