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ギリシャが誇るべき12人目の選手たち
代表チームの応援はプライスレス

ユーロ優勝、もう1つの原動力

筆者はギリシャのサポーターは世界有数だと語る。厳しい経済状況にもかかわらず、国内には応援ムードが浸透している
筆者はギリシャのサポーターは世界有数だと語る。厳しい経済状況にもかかわらず、国内には応援ムードが浸透している【写真:Maurizio Borsari/アフロ】

 私は幸運なことに、ユーロ(欧州選手権)2004で、ギリシャ代表の奇跡的な優勝に立ち会うことができた。準々決勝フランス戦、準決勝チェコ戦、そして決勝のポルトガル戦(すべて1−0)とスタジアムで彼らの勝利を目の当たりにした。その当時のギリシャの快進撃を支えたのが、ドイツ人指揮官オットー・レーハーゲルであったことは間違いない。だがギリシャ代表にはもう1つの原動力があった。それはギリシャが世界に誇るサポーターである。リスボンのエスタディオ・ダ・ルスでの決勝戦、もちろん数でいえば開催国のポルトガルに負けていたが、あの時のギリシャサポーターの熱意を私は一生忘れないだろう。間違いなく彼らの方が声を張り、情熱を持ってチームを応援していた。あの日、ギリシャには12人目の選手がいたのだ。


 先に言っておくべきだろう。私はギリシャ代表チームが嫌いである。彼らの守備的な戦い、退屈な試合、オープンな展開を避けてカウンターの好機を待つ戦術。どれも嫌いだ。ワールドカップ(W杯)ブラジル大会でも、彼らのプレースタイルは予想通りだった。グループリーグの3試合でわずか2得点。最初の2試合など、コロンビアに0−3で敗れ、日本とはゴールレスドローを演じ、見せ場のないまま無得点に終わった。さらに第3戦のコートジボワール戦でさえ、相手MFシェイク・イスマエル・ティオテのミスに乗じた1点と、PKによるゴールの2得点だけ。ベスト16のコスタリカ戦こそ、相手が途中で退場者を出したこともあり少しは攻撃的に戦ったが、わずか1得点に終わり、PK戦の末に姿を消した。


 私は毎夏のように休暇をギリシャで過ごすし、ギリシャ人もギリシャという国のことも好きだが、前述の通り代表チームは絶対好きになれない。彼らのサポーターの話をお伝えする前に、ギリシャ代表に対して特別な思い入れがないことだけは明確にしておきたい。

国内には応援するムードが浸透

 そんな私でも、ギリシャのファンには心を打たれるものがある。世界有数のサポーターと断言しても良いと思っている。今大会も、彼らは私の考えが間違っていなかったことを証明してくれた。高額な渡航費がネックとなり、ギリシャはあまり多くのサポーターをブラジルに送り込めなかった。実際にブラジルへ渡ったのは数千人程度だっただろう。さらに大半のファンはグループリーグ3試合のチケットしか購入しておらず、ベスト16のコスタリカ戦まで残ったファンは限られていた。ギリシャサッカー協会は新たに55席分のチケットを用意したが、ギリシャからの飛行機代と宿泊費を考えると、1試合のために3000ユーロ(約42万円)はかかる計算となり、特にギリシャ経済の状況を考えると、新たにブラジルへ渡ってくるのは不可能に近かった。あのレシフェでのコスタリカ戦に駆けつけた多くのファンは、米国、カナダ、オーストラリア在住のギリシャ人だったのだ。


 コートジボワール戦の試合前、オーストラリアのシドニーからギリシャを応援にきていたスピロス・パパドプーロスさん(53歳)は、こう話していた。


「私たちは04年にポルトガル、ユーロ2008にはオーストリア、10年W杯の南アフリカ、そしてユーロ2012のためにポーランドにも行ったよ。私たちは、どこで大会があろうと必ず代表チームの応援に駆けつけるよ。ユーロ2004での信じられない幸せと歓喜を経験してしまったので、そのあとはユーロとW杯には必ず足を運んでいるんだ。われわれは代表チームを誇りに思っているし、彼らを愛している。だからブラジル大会も見逃すわけにはいかなかったのさ。馬鹿みたいな額の出費になったが、そんなの関係ないね。こうやって代表チームを追いかけることはプライスレスなんだ」


 ギリシャには代表チームを応援するムードが浸透していた。ギリシャの航空会社、エーゲ航空は、ギリシャ代表チームを応援するテレビCMを作成。航空会社のスタッフたちが、あたかも試合前の選手たちのように腕を組んで胸を張るというもの。多くのスタッフを動員して動画を作成し、これをネットで広めるように国民に訴えかけると国中に広まった。

ブラディミール・ノバク/Vladimir Novak

1961年2月13日ウィーン生まれ。セルビア国籍。81年からフリーのスポーツジャーナリスト(主にサッカー)として活動を始め、現在は主にヨーロッパの新聞や雑誌などで活躍中。『WORLD SOCCER』(イングランド)、『SID-Sport-Informations-Dienst』(ドイツ)、日本の『WORLD SOCCER DIGEST』など活躍の場は多岐にわたる

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