ラグビーW杯と東京五輪をセットで考える 重要なのは「おもてなし」

スポーツナビ
PR

提供:(公財)日本ラグビーフットボール協会

第2部では、聴講者から集められたアンケートを元に議論を深めた 【スポーツナビ】

 休憩を挟んで行われた第2部では、第1部の講義に関する質疑応答と、19年ラグビーW杯と20年東京五輪・パラリンピックをつなぐストーリーについて、聴講者から寄せられたアイデアを元に議論を深めた。

W杯と五輪をどう橋渡しするか

――20年東京五輪はマスコミに大きく取り上げられていますが、19年のラグビーW杯はあまり取り上げられていません。なぜですか?

 僕も聞きたいです。これから(ラグビーW杯が)取り上げられていくには、日本代表がもっと強くなること、そしてスター選手が出ることです。サッカーの関係者とお酒を飲んだときに、「ヒーローやスター選手をラグビーも出してください」「スター選手は出てくるものではありません、つくるものです」と言われました。だからまず、来年のW杯で日本に頑張ってもらいましょう。そして、16年リオデジャネイロ五輪の7人制ラグビーでも日本代表が頑張る。出場は最低目標。五輪に出てメダルを獲得してもらう。そうすればメディアの露出も増えていくでしょう。

――ラグビーW杯と東京五輪をつなげるストーリーについて。両イベントとも共通のボランティアが担うのはどうか?

 ラグビーのW杯には各都市にボランティアが必要です。その方々が東京五輪でもボランティアを務める。連携、連続していくわけですね。ボランティアというのは、イベントを成功させる上でものすごく大事です。僕もずっと五輪、W杯の取材をしてきましたけれど、ボランティアの質が高いと「いい大会だったな」と思います。ロンドン五輪は最高でした。北京五輪も良かった。11年ラグビーW杯の(ボランティアの)方々も、一生懸命されていました。ボランティアを連動させるのはいけるかもしれませんね。

――聖火リレーをつなぐというのはどうか?
 
 工夫次第だと思います。ラグビーW杯前にアジアの各地をボールリレーする。そのボールを抱え、東京五輪の前にも聖火&ボールリレーする。とくにW杯開催地&被災地でラグビーボールをつなぎ、W杯の熱を東京五輪につなぐのです。

――2大会共通チケットの販売の可能性は?
 
 権利関係で難しいですが、検討の余地はあるかもしれません。ラグビーW杯のチケットを、五輪のどこかの試合の優先購入権ありにする。(五輪の)開会式は無理でしょうが。ただ、(ラグビーW杯のチケットで)そのほかのイベントを優先的に回っていくという考えはグッドアイデアですね。五輪の競技は厳しいかもしれないけど、五輪に関わるイベントに絡めていける可能性がある。パブリック・ビューイングであったり、五輪に関わる何らかのイベントであったり、そういったチケットならば可能性があるかもしれません。
 僕はホテルの優待券やJRやバスの乗り物を併せた割引のパッケージチケットをつくり出すと、連動制というか関係性が増すんじゃないかと思いますね。

共通するのは“おもてなし”

 いろいろありましたが、最後に“おもてなし精神”について言わせてください。おもてなしの基本精神とは“思いやり”ですね。相手への思いやりとは気配り。これはラグビーの最も得意とするところです。ラグビーという競技は謙虚ですよね。ボールを前に投げないんですから(爆笑)。スクラムだって、相手を支えて、普通は落ちない。フォワードだって、(ブレークダウンなどの密集で)相手をまず、踏まない。思いやりがあるからです。こういう精神を五輪、そしてラグビーW杯に共通させることを大事にしていきたいですね。

 ラグビーW杯、五輪・パラリンピックで共通のキーワードは“和(輪)”です。日本の良さを出す“和”、平和の“和”、東京五輪の“輪”、ラグビーの楕円球の“輪”、人と人の“和”です。あえて言うと、東京五輪が“平和”、ラグビーW杯は“絆”。そして、これらに共通しているのが“おもてなし”の精神です。W杯、五輪をみんなで盛り上げていきましょう。私も書きまくりますし、呼ばれたら、どこでもしゃべりまくります。そうやって盛り上げていきます。

あなたにとってラグビーとは?

 人生です。生きる力です。僕はラグビーによって生かされているナというのを最近、実感するんです。僕は大学までラグビーをやっていて、ラグビーを通して人間関係の幅を広げてもらい、また人格の骨格を固めてもらったと思います。
 そりゃ、ラグビーでは理不尽な練習もありましたよ。でも、理不尽なことを経験するというのは生きる上で大事なことで、ラグビーを通して社会の理不尽なことにも耐えうる力がついたと思います。今でもしんどいときには「あのときに比べたら……」と思い出したりして。ラグビーはいろんなことを頑張るためのベースになっています。

 ラグビー仲間はサイコーですよ。「あぁ素晴らしきかな、わがラグビー人生」です。

協力:(公財)日本ラグビーフットボール協会

2/2ページ

著者プロフィール

スポーツナビ編集部による執筆・編集・構成の記事。コラムやインタビューなどの深い読み物や、“今知りたい”スポーツの最新情報をお届けします。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント