クルム伊達、炎天下2時間24分の激闘 ウィンブルドンテニス
敗因は肉体的な疲労ではなくボレーミス
伊達は女子シングルス1回戦で敗れたものの、炎天下での2時間24分を戦い抜いた 【写真:アフロ】
ライジングショットからの速い展開でオープンスペースを作り、第1セット、ノータッチのウィナーを次々と決めて5−0。そこからが第1関門だ。相手サーブの第6ゲームで2本、第7ゲームは40−0と3本のセットポイントを握りながら逃げられ、5−3まで追い上げられた。しかし、クルム伊達は第9ゲーム、2本のダブルフォルトという苦境を乗り越えて第1セットを奪った。気温こそ23度だが、直射日光がきつい炎天下では、43歳は1ポイントも気を抜けない。相手はランキング通りじわじわと実力を出してきた。
マカロワのファーストサーブの精度が上がり、第2セットを3−0とリードされた。ここが第2関門。女子の3セットマッチの妙味は、1ゲームの明暗で流れが逆転する緊張感にある。クルム伊達は集中力を維持し、第4ゲームをラブゲームでキープ、第5ゲームは40−0から5ポイント連取してブレークバック、第6ゲームを再びラブゲームでキープ……このセットを落としこそしたが、内に秘めた闘志でプレッシャーをかけた。
「ゲームが競るほど疲れを感じましたが、でもポイントは肉体的な消耗ではなかった」
最後の関門、ファイナルセットはクルム伊達が先手を奪った。第1ゲーム、4度目のデュースでブレークに成功し、続く第2ゲームが激しい攻防だった。40−15からマカロワが追い上げてデュースを繰り返すこと7度。クルム伊達は3本のブレークポイントを覆してサービスキープに成功し2−0とした。しかし、その後のボレーミスで流れを渡すことになる。
クルム伊達自身も「あのフォアのボレーミスでゲームの流れが変わった。きっちり決めていれば、それほど走らされることもなかった。敗因は肉体的な疲労ではなくボレーミスです」と振り返った。
現役続行を十分に予感させる内容
「クレーコートをスキップして我慢した分、走るところで走ることができた。やりたいこと、やるべきことはやれたと思います」
12年のブランクから再挑戦に乗り出して6年。今季限りでラケットを置くのではないかとの推測がしきりに飛んでいる。だが、初戦敗退とはいえ、バーミンガムの獲得ポイントを合算すれば、ランキングが急落することはない。炎天下での2時間24分の激闘、総ポイント数ではマカロワの110に対しクルム伊達は112と2ポイント多かった。現役続行を十分に予感させる内容だった。
マカロワの次の相手は同じ左利きの土居、奈良はビーナス・ウイリアムズ(米国)と対戦する。
男子では、昨年の覇者アンディ・マレー(イギリス)、第1シードのノバク・ジョコビッチ(セルビア)、さらにはエルネスツ・グルビス(ラトビア)、グリゴール・ディミトロフ(ブルガリア)ら、女子では第2シードのリー・ナ(中国)、第6シードのペトラ・クビトバ(チェコ)らが勝ち進んだが、夕刻からの雨で一部の試合がサスペンデッドになった。
(文:武田薫)
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