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日本代表を変える「新防御システム」
ジョーンズHCは進化に自信

予定通りの「このタイミングからの強化」

カナダ代表の突進を止める日本代表(紺色)
カナダ代表の突進を止める日本代表(紺色)【斉藤健仁】

 2015年9月にイングランドで開幕するラグビーワールドカップ(W杯)まで、500日を切った。一昨年にラグビー日本代表の指揮官に就任した世界的名将、エディー・ジョーンズHC(ヘッドコーチ)が何か変化をもたらすなら、この春と思っていた。ただ4月からの合宿では、アタック&ディフェンスを通じてフィットネスを鍛え、スポットコーチの下、スピードの強化を行うなどしてボトムアップを図った。


 8大会連続8回目のW杯を決めた5月25日の香港代表戦後、ついにジョーンズHCが次の一手を打った。前日まで香港代表を率いていたリー・ジョーンズ氏をディフェンスとブレイクダウン専任コーチとして招聘。リーコーチは元ウェールズ代表のアシスタントコーチで、プロクラブの指導歴もある人物だ。


 ジョーンズHCは、就任当初からアタックの戦術、それを下支えするセットプレーの強化を進めていた。そんな指揮官に「ディフェンスをこのタイミングから強化することを決めていたのか?」と聞くと、答えは「イエス」。昨年末の取材時の「ディフェンスは強化しなければならない分野」という発言とも一致していた。

攻撃力に優れるサモア、カナダに連勝

5月から日本代表に加わり、ディフェンスを指導しているリー・ジョーンズ氏
5月から日本代表に加わり、ディフェンスを指導しているリー・ジョーンズ氏【斉藤健仁】

 アジア5カ国対抗後のサモア代表戦(33対14で勝利)では、タックルミスはわずか3つ、失トライ2で抑えた。「ディフェンスでもアタックでも前に出られていた」(SO立川理道)

 カナダ代表戦(34対25で勝利)は、欧州組6人が先発したほぼベストメンバーの相手に前半はリードを奪われた。相手のボールを広く動かす戦術「ポッド」に対応できず、さらに1対1で受け身となり「トイレに座るような姿勢」(ジョーンズHC)になってしまい、3トライを許す。だが、後半は一転、ディフェンスの2人目の寄りが早くなり零封、逆転勝利を呼び込んだ。


 ジョーンズHCは自信に満ちた目で言った。「選手たちのディフェンスに関する理解度は高まっている。良いタックルをすれば、ディフェンスのラインスピードが上がる。一番重要なのは良いポジションにいること、そして良い判断から良いタックルをすることです」

基本動作を「身につくまでやる」

タックルの基本動作を繰り返す
タックルの基本動作を繰り返す【斉藤健仁】

 以前から日本代表はディフェンスラインのスピードを上げていた。W杯で戦う自分たちより大きな相手に、1対1で勝ち、プレッシャーを与えるためだ。「ディフェンスで何回も前に出て、相手のオプションとスタミナを減らして、キックを蹴ってくれば、自分たちのボールにすることができる」(SO立川)


 ただ、前に上がっても、タックル前に足を小刻みに動かす「パドリング」(ダンスとも言う)ができないと、相手のステップなどについていくことができず、しっかりタックルできない。主にバックスの選手は、「自転車の運転と同じ。体に身につくまでやる」とリーコーチの下、タックルの基本動作を繰り返している。

斉藤健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーとサッカーを中心に執筆。エディー・ジャパンのテストマッチ全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」、「高校生スポーツ」の記者も務める。 学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「世界のサッカー愛称のひみつ」(光文社新書)、「世界最強のゴールキーパー論」(出版芸術社)、「ラグビー「観戦力」が高まる」(東邦出版)、「田中史朗と堀江翔太が日本代表に欠かせない本当の理由」(ガイドワークス)、「ラグビーは頭脳が9割」(東邦出版)、「エディー・ジョーンズ4年間の軌跡―」(ベースボール・マガジン社)など著書多数。最新刊は「ラグビー日本代表 1301日間の回顧録」(カンゼン/2016年6月刊)。

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