“プロゴルファーの旬”とは何歳なのか 45歳・手嶋多一の優勝が示したこと

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若手とベテランの勝負がゴルフの面白さ

45歳・手嶋多一が7年ぶりに優勝。毎年シード権確保に四苦八苦しつつもつかんだ栄冠だった 【写真は共同】

 22歳の松山英樹が米国PGAツアー「ザ・メモリアルトーナメント」で、日本人選手では4人目となる米ツアー優勝を果たした翌週の8日、国内メジャー初戦「日本プロゴルフ選手権大会 日清カップヌードル杯」で45歳の手嶋多一が7年ぶり、ツアー通算7勝目を飾った。

 プロゴルファーの旬――とは何歳だろうか? と、ふと思う2週間となった。

 今週末(現地時間12日)に開幕するサッカーの「2014 FIFAワールドカップブラジル大会」では、日本代表23選手の平均年齢が26.8歳で、最年長は遠藤保仁の34歳。日本のプロ野球選手はいくぶんサッカーより長い印象もあるが、長続きするにはチーム内の競争を勝ち抜かなければならず、選手としてのピークはせいぜい9〜10年と言われている。

 プロゴルフ事情に目を向けると、松山と手嶋の例にとどまらず、活躍年齢の広さを物語る対比には枚挙にいとまがない。国内女子ツアーでは毎週のように10代のアマチュア選手が優勝争いに顔を見せる一方で、アラフォー世代の表純子や大山志保も存在感を示す。米PGAツアーでは20歳のジョーダン・スピース(米国)が優勝争いに絡んだ4月のメジャー初戦「マスターズ」で、50歳のミゲル・アンヘル・ヒメネス(スペイン)が4位に入った。ヒメネスは今季欧州ツアーで、史上最高齢優勝記録を塗り替えながら2勝を挙げている。

 パワーと勢いがほとばしる若手の活躍、熟練の技と歴戦の知恵が光るベテランの渋さが、同じ土俵で勝負を繰り広げるのはゴルフならではの面白さだろう。

選手寿命は等しく長いわけではない

 日本プロゴルフ選手権が開催された兵庫県のゴールデンバレーGCは、コースレートが「77.4」と日本一の難度を誇るコース。グリーンは起伏が激しく、アイアンショットでピンポイントなボールコントロールが要求される難関は、勝った手嶋が「ここはベテランに有利なコース」と語った通り、力(飛距離)でねじ伏せることができない。選手に“うまさ”と“辛抱”を要求した。

「ボギーは出るけど、いかにダブルボギーをたたかず我慢をするか」と、手嶋はショットや小技でチャンスを生かし、4日間でボギーは9個、ダブルボギーは1つもたたかなかった。

 優勝が決まってアテスト場に現れた手嶋を出迎え、真っ先に「おめでとう!」と声を掛けたのは、同じ45歳の深堀圭一郎だった。2012年に国内男子ツアーの賞金王を戴冠し、“アラフォーの星”と称される1学年下の藤田寛之も、「自分は遅咲きだけど、手嶋さんは返り咲き」と称賛した。

 ただ、活躍年齢の広いゴルフでも、選手としての寿命は等しく長いわけではない。この大会でテレビ解説とラウンドリポーターを務めたのは、やはり同世代の44歳・丸山茂樹と43歳・田中秀道だった。丸山も田中も日米を股にかけ、それぞれ日本を代表する選手に君臨した時期もあったが、最近は一戦を退き、充電期間とも言える時間を送っている。

 ウサギとカメの話ではないが、手嶋は毎年のようにギリギリで苦しみながら、18年連続でシード権確保を続け、7年ぶりの栄冠にたどりついた。その優勝は、今がどんな立場であれ、同世代選手の目には誇らしかったに違いない。

 日本だけでなく、世界中でそれぞれが選手寿命をまっとうしながら、ゴルフツアーは光と影を織りなしていく。きっと、それがゴルフファンの心をひきつける一要素だ。

(編集・本橋英治)
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