父フジキセキと最後の仔イスラボニータ=2頭の背中知る蛯名、ダービーの勝算は

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枠に収まり切らない可能性

血統面での距離不安を言われているイスラボニータだが、蛯名は枠に収まり切らない可能性を感じ取っている 【netkeiba.com】

「順調に来ていることが何より」
 ダービーに向けてコメントを求められると、蛯名はこう答える。ダービーに向けての最終追い切り後もやはり、「順調なのが何よりです」と答えていた。それは追い切り後に馬上から見せた笑顔からも、窺い知ることができた。

「先週はピリピリしていましたけど、今週は落ち着いていましたね。これまでは他の馬と併せてそこから抜け出すという形でしたが、今日(5/28)は最後併せた相手とピッタリ馬体を併せるという追い切りにしました。稽古でいろいろなことを経験させたいというのもありましたしね」

 蛯名が言う通り「順調に来ている」イスラボニータだが、同馬が皐月賞を制するまでは、フジキセキの産駒は、芝では1600m以下の距離でのGI勝ち馬しか出していなかったために、距離不安が取り沙汰されている。また母の父がコジーンというのも、距離不安を増幅させる要因ともなっていた。

 しかし、蛯名は「気にしてもどうにもならない」というスタンスだ。そして、血統による距離不安を、競馬の持つ魅力に結びつけた。
「血統は1つのファクターですけど、必ずしもその枠に収まらないというところが競馬のおもしろさでもあると思います。オグリキャップの時も、ダンシングキャップの子があの距離を走るの? というのがありましたよね」

 裏を返せば、枠に収まり切らない可能性をイスラボニータに感じているとも言えそうだ。

平常心でダービーに臨む

「平常心でダービーに臨みたい」と蛯名 【netkeiba.com】

 調整は予定通りに進み、最終追い切りも無事に終え、あとはレースを待つばかりとなった。蛯名にダービーへの思いを聞いた。

「初めてダービーに騎乗したのはシャコーグレイド(1991年、8着)でしたが、あの時の僕はすごかったなと思いますよ(笑)。ワクワクして楽しくて、怖いもの知らずでしたから。(ダービーに)毎年乗りたいと思いました」

 しかし、2004年のハイアーゲームで3着に敗れ、一昨年のフェノーメノではハナ差の2着と涙をのんだ。ダービーに勝ちたいという気持ちが強かった蛯名だが、年を重ねるにつれ、心境に変化が訪れた。

「願えば必ず叶うものではないですよね。勝ちたいと願えば願うほど、勝利は遠くなっていく……そういうこともあると思います。肩の力を抜いて、普段のレースと同じように平常心でダービーに臨みたいですね」

 蛯名は達観したように語った。

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