頑張りすぎないランニングのススメ 元日本代表が語るゆるRUN
伝えたいスロージョギング&ウォーキングの大切さ
壇上で会場を盛り上げる西田さん(中央) 【スポーツナビDo】
続けていると目標のレベルがどんどん上がっていく。でもいつかしら止まるときがくるんです。そのときに分かってくれればいいようなことを、僕は言い続けたいなと思っています。
「もっとペースを落として」「このくらいでいいんだよ」とか。ジョギングするのが速かったら、スロージョギングの大切さを伝える。ちゃんといいフォームを伝える。そしたら自然とタイムも伸びてくる。そういう小さいことを教えてあげられたらと思います。それが分かっていれば、ランニングクラブなんてなくてもいいと思うんです。僕の仕事はなくなりますが(笑)。
あとは、ランニングだけじゃなくてウォーキング。日常の行動の中で、歩くことはできていますが、“気持ちが変わるウォーキング”というのもやってもいいんじゃないかなと。猫背でペタペタと歩くのか、それともかかとから入って、胸を張ってしっかりと歩くのか。その差で気持ちがすごく変わると思うんです。
今、クラブでは吉澤くんがウォーキングのレッスンをしているんですが、そういうことは社会人になっても年齢問わずやった方が良いと思います。そういうことを広めたいと思う中で、タイムとか順位が必要かと考えたら、必要なくなるんですよね。
おにぎり食べたい!友達増やそう!…それぞれの楽しみ方を
タイムを計らないことや、順位をつけないことについての意見はほとんどなかったですね。みなさん勝手に楽しんでくれて。“日本一ゆるい”とつけちゃったのが良かったんでしょうか。
――実際、みなさん自由に動いていましたね。レースのスタート直前でも、他の人がコースにはみ出しているくらい。
そうですね、もうひとつ感じているのが、今って値段が高くて、規制が入って……とか、徐々にできることの幅が狭くなってしまっている大会が多くなっているような気がします。そうすると、できることがどんどん縮こまる。
やれる範囲が狭くなってきたら、自分たちの喜び方も狭いです。タイムがあって、自己ベスト出た……。そうじゃなくて、自分の気持ちにゆとりが持てて、すごく楽しいなって思ってもらえる大会の方が満足度は高いと思います。
観戦スタイルもゆる〜く!? 【スポーツナビDo】
楽しさって勝手にこっちで固定しちゃいけないと思うんです。そしたらこの大会も「ランニングって速くなくちゃ楽しくないよね」って言っているのと同じになってしまう。イベントにおにぎりを持ってきて食べようとか、友達をつくろうとか楽しみは人それぞれ。速くても速くなくても、楽しめる人は楽しめる。そういう枠の広いところでやりたいなと思います。そしたら順位付けとかタイムは要らないんです。
ただ今回の反省点としては、手描きゼッケンを頑張ってくれたり、コスプレをしてくれたりした人たちに対して、もう少しピックアップできたらと思いました。
――参加者それぞれの「手描きゼッケン」。これはどなたのアイディアだったんですか?
僕です。前からも思っていて。ゲストランナーとして出た大会で、僕は名前が分かるゼッケンをつけてもらっていますが、周りは番号だから名前も分からなくて「お父さん頑張って」くらいしか声を掛けられない。何かそれに飽きてきて。だから去年、ハーフマラソンの大会に出たときに、隣に走っていたおじちゃんに「すみません、自己紹介しませんか?」って話し掛けました。その人は偶然に、僕と同じ「西田」さんだったんですが(笑)。それで、そういうふうに走るのが好きになって。
やっぱり名前があるんだったら、ニックネームでも名前でも呼ばれながら走った方が面白いんだろうなって思うし、モチベーションに関しては全然違うし、気持ちの良い応援のされかたをすると背筋がシャンとなるし。それをやりたかったんです。
参加者さんと記念撮影! 西田さん(前列右から2人目)もVサイン 【スポーツナビDo】
ゆるRUNへのニーズを確認 第2回は秋開催!?
競技場がなかなかとれないんですが、第2回もやる気満々です。毎回がファイナルと思ってやり切ります! もちろん一番のテーマは家族、カップル、そういう仲間。あ、俺は家族いないんだった(笑)。
今後は、ランニングにはまっている人が、こういうのもいいよねって言ってくれるような大会にしたい。周りをどんどん引っ張ってきてくれるようになったらいいと思います。あ、そうだ。僕も両親を呼んでみようかな。
(取材・文:小川麻由子/スポーツナビ)
1977年4月26日生まれ、栃木県出身。佐野日大高から駒澤大学に進学し、箱根駅伝には4年連続出場。4年時には9区で区間新をマークした。卒業後、日本代表として2001年世界選手権エドモントン大会男子マラソンに出場し9位に。09年の現役引退後は役者・タレントとして活動。また「西田ランニングくらぶ」代表として、初心者から上級者までさまざまなレベルに合わせたランニング指導を行う。
■西田ランニングくらぶ
西田隆維さん主宰のランニングクラブ。西田さんの他、競歩の吉澤永一さん、女子マラソンの大平美樹さんが会員を指導。神宮外苑、東京体育館周辺を中心に毎週活動中です。
開催日時、会費などの情報はコチラ(http://ameblo.jp/nrc-run/theme-10065871109.html)。