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今年のF1が“面白くない”3つの理由
赤井邦彦の「エフワン見聞録」第27回
毎年スペインGPのスタートは、スタートイン側の取材エリアで見る赤井氏。昨年までと比べてやはり音が小さく、迫力が大きく削がれてしまった印象を受けたという
毎年スペインGPのスタートは、スタートイン側の取材エリアで見る赤井氏。昨年までと比べてやはり音が小さく、迫力が大きく削がれてしまった印象を受けたという【赤井邦彦 Kunihiko Akai】

 5月9〜11日、スペイン・バルセロナで行われたF1スペインGPを取材した。いくつか気づくことがあったので書き留めておきたい。カタルーニャ・サーキットはコース脇に行ってクルマの走りを見るには最適のサーキットだ。いくつもの箇所でコースにとても近くまで寄って、走りを間近に見ることができる。その結果は……。

感動を与えない小さなエンジン音

 今年のF1はなんだかこれまでと違って気が抜けているように感じた。F1マシンの走りを見ながら考えたが、面白くないと言われている理由が分かった気がしたのだ。


 一番大きな理由は、エンジン音が小さいことだろう。実を言うと、私はエンジン音などどうでもいいと思っていた。抜きつ抜かれつの接戦があれば、レースはエンジン音なんてなくても興奮すると思っていたのだ。ところが、実際にコース脇に行ってF1マシンが走る姿を目の当たりにすると、音がないと感動を覚えないということを知らされた。そもそも抜きつ抜かれつの接戦が少ないということもある。だが、エンジン音が小さいことで、F1そのもののエネルギーが小さいように感じたのだ。

速さでGP2に負けるF1

 2つ目は、パワーユニットの性能があまりにも低いこと。それは今年のエンジン排気量が小さくなったことと無関係ではないだろう。1.6リッター+ターボチャージャーにERS(エネルギー回生システム)の組み合わせ。それでもエンジン本体の出力は500馬力もあればいいのではないか。ERSを加えても全体で700馬力程度。上り坂を息せき切って登る姿が苦しそうに見えるのはそのために違いない。出力を上げるには低い数値で規制されている燃料流量をもっと上げるようにすべきだろう。そうすれば、F1の遅いグループがラップタイムで速いGP2に負けるという屈辱的な状況からは抜け出せるのではないか。


 新技術を多用し、将来を見据えたパワーユニットを採用したという点は評価すべきだ。しかし、それによってF1の音やパワーといった魅力が削がれてしまうのでは、本末転倒だと思う。

硬く、滑りまくるタイヤ

 3つ目はタイヤ。こいつの方が今年最大のネックかもしれない。ピレリは今年、ターボの巨大なトルクに負けないタイヤとして硬めのゴムを投入した。ところが、このタイヤがとにかく評判が悪い。「グリップがない」とドライバーが口をそろえる。


 フェラーリのタイヤ担当・浜島裕英氏も「滑りまくりですよね」と指摘する。ドライバーで最も分かりやすく不満を表したのはフォース・インディアのセルジオ・ペレス。「去年の失敗(柔らか過ぎるタイヤ)から学んだと言うが、あまりにコンサバ過ぎるタイヤになった。もう少ししっかりと走ることのできるタイヤを作ってほしい」と言う。ピレリは、「我々は最適なタイヤを作ってきた。去年の事象に対して過剰反応をしたわけではない」と答えた。


 ピレリのタイヤはF1だけで評判を落としたわけではない。GP2でもドライバーは口々に不平を言う。「走行ペースを変えなければ問題ないが、少しでも前を行くクルマを抜こうとしてアタックすると、すぐにグリップを失ってしまう。このタイヤではまともなレースはできない」と。う〜ん。

正常に戻るかどうか……課題は山積み

 今年のF1は過渡期と呼んでいいのかもしれない。ただ、過渡期とは正常な状態に戻る途中のことを言うのだが、F1がこのままいっても正常に戻るかどうかは分からない。エンジン音を大きくするというアイデアは出ていると聞く。しかし、出力の増加を画策する案はまだ聞かない。私は、燃料の流量を今より多くして出力を上げる方向を探した方がいいと思う。タイヤに関しては何とも言えない。解決しなければならない問題だが、安全に関わることでもある。「ここは慎重に」ということだ。


 今のF1、解決しなければならない問題は山積してるぞ!

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赤井邦彦/AUTOSPORTweb

赤井邦彦:世界中を縦横無尽に飛び回り、F1やWECを中心に取材するジャーナリスト。F1関連を中心に、自動車業界や航空業界などに関する著書多数。Twitter(@akaikunihiko)やFacebookを活用した、歯に衣着せぬ(本人曰く「歯に衣着せる」)物言いにも注目。2013年3月より本連載『エフワン見聞録』を開始。月2回の更新予定である。

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