弱冠20歳の新星に懸かる期待と可能性=記録逃すも存在感を示したスピース
2大会連続で最終日に足踏みでV逃す
2大会連続で優勝を逃すも、将来に期待が懸かるスピース 【Getty Images】
約1カ月前にも見た光景だ。4月開催のメジャー今季初戦「マスターズ」でも最終日最終組で優勝争いを繰り広げ、タイガー・ウッズ(米国)の最年少優勝記録(21歳3カ月14日)の更新にあとわずかまで迫った。結果的には2位に終わったが、昨季の新人王に輝いた期待の20歳が、より大きな存在となる可能性をファンに確信させた試合となった。
今大会も最終日に伸ばしきれずに敗れたという点では、まだまだ成長の余地を残す現状を示した形だが、並の20歳ではないとあらためて証明するには十分だ。今大会では、1994年のグレッグ・ノーマン(オーストラリア)以来20年ぶりとなる、初日から54ホールノーボギーラウンドもマーク。74年のリー・トレビノ(米国)以来となる40年ぶりのノーボギーラウンド優勝者誕生への期待も膨らませた上での敗戦だった。
技で魅せるプレーで未来を見据える
対して、ショットの主要スタッツ(ドライビングディスタンス、フェアウェイキープ率、パーオン率)がいずれも全体の100位以上(5月11日時点)なのは、明らかなウイークポイントがあることを示唆する。ただ、タイガー不在のゴルフ界という現状もあって、このネガティブな数値ですら、まだまだ進化の伸びしろが残されているという期待を持たせる存在感を放ち始めている。
2試合続けてビッグタイトルを逃した直後のインタビューでは、「まだトーナメントが終わって5分しか経っていないんだ。今は心の痛みの方が大きいよ」と話した。しかし、その痛みは、さらなるステップアップへの糧でもある。「僕もそう望みたいね。ロリー(・マキロイ=英国)だって、より強くなって戻ってきたんだから」。2011年の「マスターズ」で惜敗し、同年の「全米オープン」を制したマキロイに自身を投影させた。
「今から全米オープンが待ち遠しいよ。僕にとっては、とても思い入れが強い大会なんだ。今という時期を、笑って振り返ることができればいいね」
底知れない可能性を感じさせる期待の新星は、早くも1カ月後に控える次なる大舞台を見据えていた。
(文・塚田達也)
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