王者・板橋、爆腕・大月の王座戦への想い=Krush.41直前インタビュー
昔より今の方が闘争本能は強い
――昨年11月の復帰以降、約2カ月で3試合とハイペースで試合が続きました。Krushでの2試合(vs.平塚大士、vs.青津潤平)を振り返っていただけますか?
平塚戦はものすごく緊張しました。とりあえず勝たないと次につながらないので、試合を楽しむ余裕もなく何が何でも勝つという気持ちで戦いました。逆に青津戦は前回の試合から間隔が短くて身体はしんどかったんですけど、平塚戦よりも楽しんで戦うことが出来たと思います。あの試合を乗り越えられたことで今があると思うし、タイトルに挑戦できたのだと思います。
――大月選手は年齢・キャリアを重ねても、闘争本能が全く衰えないですよね。
むしろ昔より今の方が闘争本能は強いですよ。昔はどちらかというと自分の運動神経や能力に頼っていた部分があって、一発も相手のパンチをもらわずに倒してやろうとか楽できれば一番いいやと思っていました。でも今は40代の意地ですよね。どれだけ打たれても打ち返して、最後は俺が打ち勝ってやるっていう。心では絶対に負けないとい信念があります。理想は一発でバーン!と倒すこともかもしれないけど、そんな甘い話はない。今は打ち合いの中で打ち勝つ、そうしなきゃダメだと思っています。普段の練習もそういう練習に変わってきましたね。
――板橋戦のオファーを受けた時はどんな心境でしたか?
僕はずっと板橋君とやりたいと思っていて、普段は仲がいい方なんですけど、戦う可能性があるから練習はしたことがなかったです。彼は強いし、いい試合をするし、ハートもあるじゃないですか。だから僕は彼のことを尊敬しているし、その板橋君に勝たないと次に進むことはできない。逃げちゃダメだと思いました。
板橋君が夢に出てくるほど怖さや緊張がある
熱いですからね。ああいう選手と戦うとなったら、こっちも燃えてきます。僕も板橋君のカァーッ!とテンションが上がる試合になるんじゃないですかね。ただむちゃくちゃ緊張してますよ。試合に向けて研究すればするほど一筋縄ではいかない相手で、ギリギリの勝負になることは自分でも分かっています。『こういう攻撃が当たるといいな』とか甘い考えを持っていると、間違いなく倒されます。だから危機感ですよね。野生の勘というか『こいつは危ないよ』っていう。普段、笑顔で挨拶する仲だけど、彼には内に秘めたメラメラとして殺気がある。それが試合がなくてもと伝わってくるわけだから、今度のタイトルマッチは、言葉は悪いけど“殺し合い”みたいな試合、真剣で戦うような勝負になりますよ。変な話、板橋君が夢に出てくるんですよ。どんな夢かは覚えてないんだけど、朝起きた時には夢に出てきたことだけは覚えている。それだけ知らないうちに意識しているんだろうし、それだけ怖さや緊張しているんでしょうね。
――大月選手はKrush復帰にあたり、チャンピオンになって戦いたい相手がいるとアピールされていました。今もその気持ちは同じですか?
はい。Krushは人気があって、強い選手たちがどんどん集まってくるじゃないですか。そのKrushでチャンピオンになれば、胸を張って発言できると思うんですよ。チャンピオンでもなんでもない人間が『戦いたい相手がいる』と言っても、それは虫がよすぎる話でしょう。ここで勝つか負けるかでこれから先が変わってくると思うので…僕は勝つしかないんですよ。勝つしかない。
何人も犠牲にしてきた拳をお楽しみに!
ぶっちゃけ相性はよくないと思います。でも僕はそれを分かっているし、自分が勝つ時、負ける時、接戦になる時…いろいろなパターンをイメージトレーニングしています。相性が悪いことを自覚した上で練習を続けているし、技術で言えば間違いなく俺の方が上です。それをどう生かすか、ですね。上手くやろうとするのは絶対によくないので攻める時は攻める。僕と彼が戦えば沸かそうとしなくても、ハイレベルな戦いになって沸くと思うんですよね。その中で一番大事なのは気持ち。その気持ちの部分で負けていたら、僕は勝てないんだろうなと思います。
――その板橋選手に勝って手に入れるからこそ、Krush−60kg級のベルトは本当に価値のあるベルトだと思います。
板橋君はこのルールで本当に強いと思います。石川(直生)みたいなタイプは苦手かもしれないけど、打ち合うタイプには滅法強いですからね。でも僕の売りは一撃なんで、その一撃をどう当てるか。アヌワット(※)のパンチは効かなかったかもしれないけど、大月晴明のパンチは効くよ、と。ちゃんと練習している人間のパンチは強いですから。気持ちも乗っていますからね。(自分の拳を見ながら)この拳で何人も犠牲にしてきたし、今回も練習で何人も怪我させてきたんで。楽しみにしておいてください。