MLBで根付き始めたビデオ判定、先駆者・NBAの高いプロ意識から学ぶ
日本上陸も遠くはない
複雑なプレーも多いNBAでは10年以上前からビデオ判定が導入されている 【Getty Images】
あのミーティングから11年が経ち、MLBは本格的なビデオ判定導入に踏み切った。この流れは必ず近い将来、日本にもやってくるだろう。民主主義の国・米国で誕生した野球というスポーツは、微妙な判定の際には審判同士が話し合いで解決するという極めて民主的な運用で100年以上の歴史を刻んできた。
これは君主国・英国で誕生したサッカーにおける主審のホイッスルや腕時計という絶対的な存在とは対照的で、野球とサッカーの成り立ちに両国の背景が垣間見えて非常に興味深い。
スポーツの本質の一つは「ルール」。両チームの選手たちが公平なルールに則って勝ち負けを競うところに、スポーツの面白さは集約されている。社会的にも透明性や可視化が求められている昨今の日本において、プロ野球の判定をめぐる可視化は、案外すんなりと受け入れられるような気がする。その昔、ネット環境の整備とともにNBAがリーグを挙げてビデオ判定の導入に踏み切ったように、時代が求めていることに的確に応えていくことも、リーグビジネスが進むべき一つの方向と言えるだろう。
(スポーツカルチャー研究所 小島克典)