主将から司令塔へ 廣瀬俊朗の挑戦 エディーHCが決めたコンバート
「新しいチャレンジを楽しんでいる」
穏やかな表情で、落ち着いて質問に答える廣瀬 【斉藤健仁】
ベテランらしく常に自然体であり、無理に自分を飾ることのない廣瀬は「ポジションのコンバートに関しては、寂しさはありません。WTBとSOと両方できる選手はなかなかいないし、しかも日本代表ですから。エキサイティングだし、新しいチャレンジを楽しんでいる」と前を向いた。
宮崎合宿でレギュラー組に入った。「試合は違うと思いますが、練習ではちゃんとやれている」と廣瀬が言えば、ハーフ団を組むSH日和佐篤(サントリー)も「ゲームをやってみないと分からないですが」と前置きした上で、「もともとSOですし、判断も良いし、違和感はない。頭の良い選手ですし、オーガナイズ(攻撃を組織)できると思います」とSOとしての廣瀬を評していた。
スーパーラグビー挑戦中の立川理道(クボタ)や家庭の事情で春の日本代表に選出されていない小野晃征(サントリー)、田村優(NEC)らSOのライバルは多い。廣瀬は今シーズンの最初の試合となるアジア・パシフィックドラゴンズ戦で、早速、チャンスを得た。それでも「個人をアピールしていきたいですが、互いに刺激して高め合うことが大事です」と、彼らしく、チームとしての成長を誓った。
エディーHC「誰が通用するか見ていきたい」
エディー・ジョーンズHC(中央)、田村優(左)と練習中に話す廣瀬 【斉藤健仁】
今回の試合はテストマッチではないが、SOとして初キャップを獲得した2007年以来の司令塔としての先発出場である。今年33歳になる廣瀬は「あのときとは全然違います。コーチ陣からはランもパスもしっかりと前を向いてプレーしてほしいと言われている。(テンポの)早いボールはフラットに立って仕掛けて、遅いボールになったときはコントロールしたい」と、すっかりSOの顔になっていた。
ジョーンズHCは年齢で選手を判断することはなく、プレーの質とポテンシャルを重視する。決して若くはないものの「新人SO」として輝きを見せることができれば、廣瀬はプレー面からでも日本代表を支える存在となろう。