主将から司令塔へ 廣瀬俊朗の挑戦
エディーHCが決めたコンバート

「新しいチャレンジを楽しんでいる」

穏やかな表情で、落ち着いて質問に答える廣瀬
穏やかな表情で、落ち着いて質問に答える廣瀬【斉藤健仁】

 それでは、SOへの挑戦についてはどう思っているのか。筆者は、個人的には「WTB廣瀬」が好きだ。東芝では、リンクプレイヤーとしてスタンディングラグビーを支え、2008年度にはトップリーグのプレーオフトーナメントでMVPに選出。この2年間でランのキレも増した。だが、もともと高校日本代表や慶応大では司令塔として活躍し、昨シーズンの日本選手権でもSOとしてプレーした。


 ベテランらしく常に自然体であり、無理に自分を飾ることのない廣瀬は「ポジションのコンバートに関しては、寂しさはありません。WTBとSOと両方できる選手はなかなかいないし、しかも日本代表ですから。エキサイティングだし、新しいチャレンジを楽しんでいる」と前を向いた。


 宮崎合宿でレギュラー組に入った。「試合は違うと思いますが、練習ではちゃんとやれている」と廣瀬が言えば、ハーフ団を組むSH日和佐篤(サントリー)も「ゲームをやってみないと分からないですが」と前置きした上で、「もともとSOですし、判断も良いし、違和感はない。頭の良い選手ですし、オーガナイズ(攻撃を組織)できると思います」とSOとしての廣瀬を評していた。


 スーパーラグビー挑戦中の立川理道(クボタ)や家庭の事情で春の日本代表に選出されていない小野晃征(サントリー)、田村優(NEC)らSOのライバルは多い。廣瀬は今シーズンの最初の試合となるアジア・パシフィックドラゴンズ戦で、早速、チャンスを得た。それでも「個人をアピールしていきたいですが、互いに刺激して高め合うことが大事です」と、彼らしく、チームとしての成長を誓った。

エディーHC「誰が通用するか見ていきたい」

エディー・ジョーンズHC(中央)、田村優(左)と練習中に話す廣瀬
エディー・ジョーンズHC(中央)、田村優(左)と練習中に話す廣瀬【斉藤健仁】

 ジョーンズHCは「廣瀬はSOになってまだ2週間しか経っていませんから」と擁護しつつも「(アジア・パシフィックドラゴンズ戦の先発には)ベストな選手が15人入っていない。来年のW杯を視野に誰が通用するか見ていきたい。彼にとってはタフなチャレンジになる。30分、SOとして試合に出るだけで、WTBの6試合以上のボールタッチ数になるでしょう。パスかラン、スペースがあったらキックと早い決断をすることを期待している」と、攻撃ラグビーのタクトを握るポジションに対する要求は高い。


 今回の試合はテストマッチではないが、SOとして初キャップを獲得した2007年以来の司令塔としての先発出場である。今年33歳になる廣瀬は「あのときとは全然違います。コーチ陣からはランもパスもしっかりと前を向いてプレーしてほしいと言われている。(テンポの)早いボールはフラットに立って仕掛けて、遅いボールになったときはコントロールしたい」と、すっかりSOの顔になっていた。


 ジョーンズHCは年齢で選手を判断することはなく、プレーの質とポテンシャルを重視する。決して若くはないものの「新人SO」として輝きを見せることができれば、廣瀬はプレー面からでも日本代表を支える存在となろう。

斉藤健仁

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーとサッカーを中心に執筆。エディー・ジャパンのテストマッチ全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」、「高校生スポーツ」の記者も務める。 学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「世界最強のゴールキーパー論」(出版芸術社)、「ラグビー「観戦力」が高まる」(東邦出版)、「田中史朗と堀江翔太が日本代表に欠かせない本当の理由」(ガイドワークス)、「ラグビーは頭脳が9割」(東邦出版)、「エディー・ジョーンズ4年間の軌跡―」(ベースボール・マガジン社)など著書多数。最新刊は「高校ラグビーは頭脳が9割」(東邦出版/2017年11月刊)。

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