主将から司令塔へ 廣瀬俊朗の挑戦 エディーHCが決めたコンバート

斉藤健仁

「廣瀬を10番に変えようと思っている」

攻撃の司令塔であるスタンドオフ(SO)に挑戦している廣瀬 【斉藤健仁】

 4月26日、ラグビー日本代表が「JAPAN XV」として戦う今シーズン最初の試合であるアジア・パシフィックドラゴンズ戦で、前キャプテンでWTBだった廣瀬俊朗(東芝)がいきなり10番を背負う。2015年にイングランドで開かれるラグビーワールドカップ(以下W杯)を翌年に控えた今春、チームを率いて3年目のエディー・ジョーンズHC(ヘッドコーチ)は変化を求めた。

 W杯で「ベスト8」を目標に掲げる世界的名将は3月、日本代表スコッド発表の記者会見で、キャプテンの明言を避けた。そして、「(4月の)合宿2日目に発表する」と公言していた通り、WTB廣瀬に代わり、新スキッパーにFLリーチ マイケル(東芝)を指名した。

 ジョーンズHCは、昨年のウェールズ代表戦の勝利などに尽力した廣瀬に対して「2年間、すばらしいキャプテンを務めてくれました。日本のラグビーのために彼がやってくれたことに感謝をしている。ハードワークをして本当に強いチームを作ってくれた」と労いつつも、「今シーズン、彼にポジションを保証することができない。(スコッドの)WTBの質を見ると廣瀬を10番に変えようと思っている」とコンバートも明らかにした。

指揮官やチームからの信頼は変わらず

宮崎合宿では新たなチャレンジに意欲的に取り組んだ 【斉藤健仁】

 岩渕健輔ゼネラルマネージャーも「もちろん、エディーから相談はありました。このままキャプテンを廣瀬で行く選択肢もありましたが、話し合ってリーチをキャプテンにしました」と言うように、来年のW杯を見据え、悩んだ末の決断だったようだ。

 過去2年間、チームを牽引してきた廣瀬は「寂しさがないと言ったら嘘になりますが、キャプテンを選ぶのはヘッドコーチです。自分の役割が絶対あるので、チームのために与えられた仕事を全力でやりたい」と力強く言い切った。

 主将を退いた廣瀬だが、指揮官やチームメイトからの信頼は揺るがない。ジョーンズHCが「日本代表にとって大事な選手」と言うように、リーダーグループの一員を務め、練習では積極的に若手に話かける姿が目立つ。「(こういったことは)昔から自分のスタイルでもあるし、エディーからも求められている。BKは若い選手も多いので、逆の立場ならどうしてほしいか考えてサポートしている」(廣瀬) 

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著者プロフィール

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーとサッカーを中心に執筆。エディー・ジャパンのテストマッチ全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」、「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「ラグビー「観戦力」が高まる」(東邦出版)、「田中史朗と堀江翔太が日本代表に欠かせない本当の理由」(ガイドワークス)、「ラグビーは頭脳が9割」(東邦出版)、「エディー・ジョーンズ4年間の軌跡―」(ベースボール・マガジン社)、「高校ラグビーは頭脳が9割」(東邦出版)、「ラグビー語辞典」(誠文堂新光社)、「はじめてでもよく分かるラグビー観戦入門」(海竜社)など著書多数。

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