卓球は知れば知るほど“ハマる” 「松原渓のスポーツ百景」

松原渓

【Getty Images】

10年間、卓球部に所属

マイラケット&ラケットクリーナーのセットを持って卓球場へ! 【松原渓】

 これまで、フットサル、自転車、そして水泳と、定期的に楽しんでいるスポーツについて書いてきた。今回ご紹介するスポーツは、プレーする頻度自体は少ないものの、競技歴は長い。また、その競技の魅力を知れば知るほど、間違いなく“ハマる”スポーツだ。

 英語に訳すと「Table Tennis=テーブルテニス」と言われるように、起源はテニスと言われている。でも、実際はテニスとは使う筋肉や技術も違うし、ルールも全く違う。

 そう、その競技とは「卓球」だ。

 小学校3年でサッカー部に入り、夢中になった私だが、進学した中学には女子サッカー部がなかった。そこで、第2希望で入部を決めたのが卓球部だった。それ以来、中学3年間+高校3年間+大学4年間の計10年間、卓球部に所属した。社会人になってからもたまに無性に卓球がしたくなる。そんな時は卓球場にラケットを持って乗り込む。

球の魅力は駆け引き

 卓球との出会いは小学6年生のころ。学校の帰りに、近くの児童館ではじめて卓球を経験した。夢中になるのに時間はかからず、その時から卓球漬けの日々が始まった。最初はラケットの持ち方も分からず、山なりのボールを返すのが精いっぱいだった。

 それが、だんだん低い球を打てるようになり、ドライブ打法を覚えると、しなる弓のような軌道の球を打てるようになり、テーブルをたたくボールのリズムが耳に心地よく感じられるほどラリーを続けられるようになった。テーブルの角の隅に強烈なドライブを決めた時の、あの最高の気分といったら!

 卓球の魅力は、何といってもあの小さな台の上で繰り広げられる駆け引き。カットやドライブ、ツッツキ、スマッシュなどのさまざまな打法を使い、球の回転を利用して相手の裏をかく。技術・フィジカル・メンタルの総合的な力が勝負を決める。動体視力や瞬発力、持久力も必要で、ハイレベルな戦いになると秒単位の頭脳戦、心理戦が展開される。

 個人的には、ちょっとした動揺や心の乱れが球に反映するのも、卓球の面白いところだと思う。メンタルにムラのあった私は、そのことを常々痛感させられた。

中学時代には世田谷区で2位に

世田谷区2位のトロフィーは大事に保存しています 【松原渓】

 私が通った中学でその年、卓球部に入部届を出した女子はわずか2人だった。そのとき、私と一緒に入部したもう1人が、長い付き合いになる親友だったことも、部活を継続できた大きな理由だ。正式なコーチはいなかったので、とにかく2人で授業が終わると体育館で日が暮れるまで打ち合った。

 体系的なトレーニングをしたわけではなく、まったくの我流トレーニングだったが、毎日長時間打ち合うことで、球の動きに対する予測や反応といった感覚的な部分が養われたのだろう。中学3年時の大会では、2人で世田谷区の優勝を争うまでになった。

 決勝戦は、互いに特徴を知り尽くした間柄だけに、逆に難しい試合になった。相手のクセを分かっているから慎重になり、なかなか勝負が決まらない。カットやツッツキを使った打ち合いが長くなると、私はつい勝ち急いで勝負を仕掛け、ミスを重ねた。結局、その決勝戦も自滅に近い形で敗れてしまった。
 練習では決まっていた球も、緊張したり迷いが生じると、途端に入らなくなったりするから不思議だ。メンタル面のコントロールも勝負の明暗を分ける大きなポイントとなる。

 都大会や全国大会などの大きな大会では、それこそ鉄人のようなメンタルを持った選手がゴロゴロいる。中でも、カット打法を主に使う「カットマン」と言われるタイプの選手が、台から2メートルも離れて強烈なスマッシュをことごとく拾い上げる姿には見惚れてしまう。「カットマンの男性って、何でも受け止めてくれそうで、かっこいいかも……」なんて思ったものだ。残念ながらレシーブ成功率=その人の包容力とはならないのだけれど。

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著者プロフィール

サッカー番組のアシスタントMCを経て、現在はBSフジにて『INAC TV』オフィシャルキャスターを務める。2008年より、スポーツライターとしての活動もスタート。日テレ・ベレーザの下部組織であるメニーナのセレクションを受けたことがある。『キャプテン翼』の原作者である高橋陽一先生が監督を務める女子芸能人フットサルチーム「南葛シューターズ」にて現在もプレー。父親の影響で、幼少時から登山、クロスカントリー、サイクリングなど、アウトドア体験が豊富。「Yahoo!ニュース個人」(http://bylines.news.yahoo.co.jp/matsubarakei/)でも連載中

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