日本ハムが忘れてはいけない大谷への責務 岩本勉氏が問う「“二刀流”の育成」
元日本ハムのエース・岩本勉氏が大谷翔平の課題と育成方法について提言した 【写真は共同】
北海道日本ハム・大谷翔平の“二刀流”2年目は、指揮官のこの一言から幕が開いた。2014年2月1日、沖縄・名護での春季キャンプ初日にブルペン入りした大谷は、投球フォームが定まらず、投じられたボールは上下左右に乱れた。栗山英樹監督のいら立ちも、至極当然のことだった。
しかし、オープン戦を迎えると、日に日にたくましさを増していき、3試合に登板し2勝0敗・防御率1.38の結果。一方で、打者としても24打数8安打1本塁打6打点、打率3割3分3厘の好結果を残した。そして迎えたペナントレース開幕戦。3番に座っていきなり二塁打2本、3戦目には猛打賞をマークする。しかし、今季初登板となった4月3日の福岡ソフトバンク戦(ヤフオクドーム)では、右ふくらはぎをつって3回61球で緊急降板を余儀なくされた。
打者として結果を出し続けるも、投手としても挑戦する――この状況をどう見るか。日本ハムのOBであり、元エースである岩本勉氏が、大谷の課題と今後の育成プランを提言した。
キャンプ初日は「ピッチャーのオーラはまったくなし」
体は大きくしたけど、ピッチャーとしてのオーラはまったくなし。それがキャンプ初日の印象でした。ブルペンに入っても、外野手の投げ方でしたからね。監督が「バカヤロー」と言いましたが、まさにその通りでした。でも、そこで本人も「これじゃダメだ」と思って、宿舎の部屋でも一人でいろいろと考えたと思う。もともと頭でイメージしたものをすぐに体で表すセンスが非常にある選手。そこからみるみると良くなった。投げるたびに良くなっていったと思います。
――チームは今季、大谷選手を中6日の先発ローテーションで回していく方針で、昨年よりも投手に比重を置いた起用プランを掲げていますが?
絶対にローテーションで回すべき。そう思っています。もちろんチームの勝敗は大事ですけど、それとは別に日本ハムには大谷翔平という逸材を一流のピッチャーに育てなければいけない責任がある。これは獲得意思を示した時からの球団としての責務だと思います。
――球団としての責務とはなんですか?
ドラフトの時、球団は「大谷くんの夢を実現させる」、「そのためのサポートをします」という形で獲得しました。『オペレーション・システム』を示しました。そのことを忘れてはいけない。大谷くんの夢はメジャーリーグに行って長く活躍することです。だとしたら、やはりピッチャーとして育てないといけない。