山本優弥「これだけベルトが欲しいのは初めて」=Krush王座決定戦インタビュー

Krush実行委員会

Krush67kg級王座決定戦で広島の後輩・牧平と対戦する山本優弥 【t.SAKUMA】

 4月15日の「Krush.40」(後楽園ホール)で、野杁正明が返上したKrush −67kg級王座を懸け対戦する山本優弥と牧平圭太のインタビューが届いた。両者はともに広島県出身で、優弥がきっかけで格闘技を始め、ジャブから教わっていたという牧平は「これは運命」と師匠越えに闘志。一方、30歳にして「これだけベルトが欲しいと思うのは今回が初めて」と意気込む優弥も「今チャンピオンになれなかったら、もうなれないでしょう」と、背水の覚悟でKrush王座戴冠をめざす。

今の自分だったらチャンピオンを目指してもいいんだ

――試合そのものが昨年8月の広島大会以来、約8カ月ぶりですね。
「コンディションのこともあって、格闘技から離れた時間もあったんですけど、今はいろんなことが順調に進んでいて、男は30歳からだという言葉の意味が分かってきました」

――広島大会後はしばらく試合期間を空けようと思っていたんですね。
「はい。試合が続いていたこともあったし、広島大会で一段落できたんで、しばらくはゆっくりしようと思っていました。広島大会もすごく反響があって、メインの寺戸(伸近)君のおかげです」

――優弥選手自身の試合はいかがでしたか?
「あの試合は久しぶりにいっぱいいっぱいでした(苦笑)。プロでやっている以上、いろんなことに視野を広げてやりたかったんですけど、あの試合は本当にただ勝ちたいとだけ思っていて。メインが寺戸君だったので、僕は試合に勝つことだけを考えさせてもらいました。もちろん寺戸君も勝つことだけを考えていたと思うんですけど、あれだけの試合をしてくれた。Krushにとってもいい大会だったし、僕らもいろんなことを勉強させてもらった大会だった気がします」

――そしてこのタイミングでKrush−67kg級王座決定戦のチャンスが舞い込んできました。
「本当にいろんなことが充実してきた最近だったんで、こうなるために自分は頑張ってきたんだなと心から思えました。初めて『今の自分だったらチャンピオンを目指してもいいんだな』と思えています。これだけベルトという形が欲しいと思うのは今回が初めてです」

――全日本キック時代にベルトを巻いて、K−1MAXやKrushで何度もトーナメントを経験している優弥選手ですが、過去の試合の時とは違う心境なんですね。
「もちろん今までの試合も一生懸命やってきたし、本当にベルトが欲しかったです。でも今の気持ちとは違います。1年経てば気持ちも変わるのが人間ですが、今は本当にいい状態だし、ずっと格闘技を続けていたいと思います。10代から格闘技を始めて、20歳でチャンピオンになったら辞めてやろうと思っていた人間が、こんなことを考えるようになるんで、格闘技と格闘技を通じて出会った人たちには感謝しています」

――チャンピオンになるのは今が一番ふさわしい、ですか?
「……今しかないでしょうね。今チャンピオンになれなかったら、もうなれないでしょう。だからと言って負けたらどうしうようとかは考えないですけど、とにかく今を一生懸命頑張って、試合当日に勝つことだけを考えて戦う。そういう気持ちになったのは初めてなんで、これは僕自身も楽しみです」

牧平選手の思いはうれしいが関係ない

「今は僕が獲るべきもの」とベルトへの強い思いを見せる優弥 【t.SAKUMA】

――優弥選手にとってKrushのベルトとはどんなものですか?
「いろいろとベルトへの考えは変わるんですけど……僕はずっと先生から『チャンピオンを目指さなかったら格闘技をやる意味がない』と教わってきて、ずっとそう思いながらやってきました。最近は格闘技以外の方と出会って応援してもらって話をさせてもらうようになって、その時に“チャンピオン”という肩書きはすごいなものだと感じています。選手の人間性とチャンピオンは別物かもしれませんが、僕はKrushのベルトを獲ることによって、ステップアップできるし、周りの見方も変わると思っています。自分のように言葉がある人間がベルトを持っていろんなことを変えていきたいんです。だから今の山本優弥にとってベルトは絶対に必要なもので、今は僕が獲るべきものだと思います」

――Krushそのものを大きくしたい、もっとたくさんの人に見てもらいたいという気持ちはありますか?
「ありますね。やっぱり人に知ってもらわないと意味がない。僕はお客さんが試合を見てくれなかったら、もう試合はやらないでしょう。もう自己満足だけで戦っているのとは違います。山本優弥というファイターに商品価値があるからこそ、僕はリングに上がらせてもらって戦うことができる。僕のことを見たいと思ってくれる人がいなくなったら、格闘技を辞めて違うことをやります」

――対戦相手の牧平選手は広島時代に練習していた選手で、記者会見でもこの試合への思い入れを語っていました。そういう相手と戦うことをどう感じていますか?
「牧平選手が高校生の頃から一緒に練習してましたけど……それは関係ないですよ。これは僕の人生なんで。僕は誰とでも殴り合えるし、誰とでも仲良くなれる。格闘家はリングに立って相手を殴って倒すのが仕事なんで。仲が良かろうが悪かろうが、僕は何とも思わないです。牧平選手が思い入れを持ってくれるのは人間としてはうれしいですけど、格闘家としては関係ないことで、試合にも直結しないです」

――今大会では70kg級のタイトルマッチも組まれていますが、どんな試合をしてベルトを巻きたいですか?
「僕は誰が相手でも同じだし、どんな試合も一緒です。でも『次の試合はタイトルマッチ』と言った時の周りの反応はいつもと違います。その違いや温度差を考えると燃えるべきだと思うし、実際に僕は燃えています。どういう試合になるかは相手あってのことなんで分かりませんが、僕は牧平選手が倒れて最後に僕がベルトを巻いている気がします。決して僕はKO数が多いタイプじゃないし、予感がすべて当たるわけじゃないですけど…今回は僕が勝ちますね」

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