元WBA王者・河野が王座返り咲きに自信=老獪なデンカオセーンに「後半競り勝つ」

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デンカオセーンは「したたかで老獪な選手」

王座返り咲きに気合十分の元WBA世界Sフライ級王者・河野公平 【スポーツナビ】

 河野公平とデンカオセーン・カオウィチットによるWBA世界スーパーフライ級王座決定戦(3月26日/東京・後楽園ホール)を6日後に控え、河野が20日に都内ワタナベジムで練習を公開した。

 河野は66戦(62勝3敗1分・26KO)のキャリアを持つデンカオセーンの印象を「前半はすごい強く、パンチも速くて一発がある。後半は失速してくるなというのはありますけど、クリンチとかしてきて、したたかで老獪な選手」と語る。デビュー以来ずっと河野と二人三脚でやってきた高橋智明トレーナーはデンカオセーン対策として「右の大振りの一発が怖いけど、そこを逆手にとってカウンターを合わせること。後半に疲れるとクリンチをしてくるので、そこをほどく、もしくはバックステップで外すこと」を徹底的にやってきたという。

トレーナーが「過去最高の仕上がり」と太鼓判

デンカオセーン対策として至近距離でのショートパンチを徹底的にやってきたという河野 【スポーツナビ】

 今回の公開練習では、「ベルトを巻いてリングを降りてほしい」という母・久子さんが見守る中、シャドー3R、マスボクシング2R、ミット打ち2Rを披露した。高橋トレーナーを仮想デンカオセーンに見立てたマスボクシングでは、クリンチにくる相手をさばいてショートフックやアッパーなどの細かいパンチを入れることを何度も繰り返した。ミット打ちでは右のストレートに対してのカウンターやクリンチ対策として至近距離でのショートパンチ、アッパーを打ち込んでいった。

 普通は相手に当てないマスボクシングながらも、パンチを食らって鼻血を出した高橋トレーナーは「過去37戦で一番調子がいい。過去最高の仕上がり。パンチにキレがあって当たったら倒れます」と太鼓判を押した。「当てちゃってすいません」と謝る河野も、仕上がりには絶対的な自信があるようで、「やることはすべてやってきたし、対策もうまくやれると思う。前半に倒れないようにして、後半に競り勝ちます」と言い切った。

「自分だけの戦いじゃないという思いで試合に臨む」

「家族も全面的に協力してくれている」と感謝する河野と公開練習を見学に来た母・久子さん 【スポーツナビ】

 河野は2012年12月に3度目の挑戦でWBA世界スーパーフライ級王座を獲得。しかし、昨年5月の初防衛戦でリボリオ・ソリスに判定負けを喫し、一度はベルトを手放した。ところが昨年12月のソリスと亀田大毅によるWBA&IBF世界スーパーフライ級王座統一戦を前に、ソリスが計量失敗でベルトを剥奪され、同王座が空位となり、同級2位の河野と同級暫定王者で同級1位のデンカオセーンによる王座決定戦が決まった。

 「前回の試合で負けたとは思っていない」と語る河野は4度目の世界王座挑戦へ向けて並々ならぬ“想い”がある。
「4回も(世界戦の)チャンスをもらって(渡辺均)会長に感謝していますし、高橋トレーナーもずっと一緒にやっていただいて、再び絶対世界を獲るぞという気持ちです。また自分だけじゃなくて、家族も全面的に協力してくれたので、僕1人でやっているんじゃないなとずっと思っています。自分だけの戦いじゃないという思いで試合に臨みます」

 今後のプランとして渡辺会長が「河野が勝って、JBC問題がクリアできたら亀田興毅選手と防衛戦をやってみたい」とファンが喜びそうなドリームマッチを明かした。しかし、周囲に感謝を捧げる河野にとって、まずは世界王者復帰が第一で、「正直デンカオセーンに勝つことしか考えていない」ときっぱり。

 再び世界王座へ返り咲く――ボクシングしかやることがないという修行僧のような面構えで、普段は物静かな男の言葉に燃えたぎる闘志が宿っていた。
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