フランスに完敗、課題を露呈したオランダ 特定選手への依存と薄すぎる選手層
親善試合に完敗し危機感を抱く
フランスに完敗したオランダ。ファン・ペルシ(左)ら特定の選手への依存と薄すぎる選手層という課題を露呈した 【VI-Images via Getty Images】
フランスの名門紙『レキップ』は「レ・ブルー(フランス代表の愛称)はワールドカップ(W杯)の準備に向けて完璧なスタートを切った」と代表チームをたたえた。彼らの採点を見るとフランスはFWカリム・ベンゼマ、MFブレーズ・マテュイディの8が最高で、最低はFWアントワーヌ・グリーズマン、ポール・ポグバ、ラファエル・バランの5。一方のオランダに対してはDFファン・デル・ビールだけ5がついて、あとは3と4のオンパレードだった。どれだけフランスの独り舞台だったのかは想像がつくだろう。
ダイナミックな選手に手を焼く
32分にベンゼマが決めた先制ゴールは、マテュイディのミドルパスから生まれたものだったが、圧巻だったのは41分に彼自身が決めたゴール。フランスがカウンターを仕掛けると、マテュイディはベンゼマと前線でパスを交わしてからオランダゴール前まで猛ダッシュ。右から上げたマテュー・バルブエナのクロスは、ややゴールから遠ざかるように流れたが、マテュイディは体幹を崩さず、ボレーでしっかりボールを捉え、クリーンシュートをオランダゴールに突き刺した。
ダイナミックなプレーを休みなく続ける、それがマテュイディの強みだ。パリ・サンジェルマンに所属するマテュイディは、チャンピオンズリーグ決勝トーナメント1回戦のレバークーゼン戦でも相手ボールを奪ってからスペースに走り込みゴールを決めている。フランス戦について、オランダ人の感想を見ると、ヨーロッパリーグ決勝トーナメント1回戦で、アヤックスがザルツブルク相手に2試合合計1−6と惨敗した試合を思い出したファンも多いようだった 。ザルツブルクもケビン・カンプルという走力、パワー、技術、戦術眼がある選手がキーマンだったが、アヤックスは止めきれなかった。オランダサッカー界として、この手の選手への対策が必要だ。
予選は好調もW杯出場国に勝てない
W杯予選では9勝1分けという好成績を収めたオランダだが、W杯出場国との親善試合ではベルギーに2−4で敗れたのを皮切りに、ドイツ(0−0)、イタリア(1−1)、ポルトガル(1−1)、日本(2−2)、コロンビア(0−0)、フランス(0−2)と勝ちがない。もちろん大事なのは公式戦の方だが、日本戦の後半で守備が乱れてしまってから、「なぜオランダリーグの選手ばかり呼ぶのか」「なぜハードな守備ができるファン・ダイクを全く呼ばないのか」とファン・ハール監督の選手選考に批判が増している。
フランス戦終了後、ファン・ハール監督は「後半、よくチームが立て直した」と語ったが、後半、オランダが放ったシュートはファン・ペルシの1本だけ。むしろファンたちの「後半はフランスがペースを落としてくれたから、0−3にされずに済んだ」という感想の方が試合の実態を表していた。
<了>
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