後半戦に快進撃を見せるニュルンベルク 清武の調子も上向き 心配は長谷部の負傷

“タフガイ”ファーベーク監督が呼んだ好調の波

リーグ後半戦に入り、好調のニュルンベルク。その理由は、指揮官の手腕によるところが大きい 【Getty Images】

 ブンデスリーガのシーズン後半戦だけに限れば、1日の第23節を戦うまではドルトムントを抜いて3位につけていたニュルンベルク。2014年に入ってから、屈した相手はバイエルン・ミュンヘンだけと好調の波に乗っていた。

 前節には、ドルトムントの前に0−3と敗れてしまった。だが、ゲルティアン・ファーベーク監督は「これだけ強いチーム相手なら、正しい道を見いだせなかったことも恥ではない」と話した。ポジティブな流れは、たった1つの黒星でかき消されるものではない。
 ニュルンベルクはブンデスリーガの歴史で初めて、リーグ前半戦を未勝利で終えたチームとなってしまった。10月初めにはミヒャエル・ビージンガーが、たった287日間で監督在任期間を終えた。順位表の下から2番目にいるという危険な状態ではあったが、クラブがパニックに陥ることはなかった。

 スポーツディレクターのマルティン・バーダーは、調査の末にファーベークを監督に迎えた。ブンデスリーガ未経験という経歴は、典型的な火消し役の肩書とは言えないものだった。また、ファーベークがオランダのエールディビジで築いた“タフガイ”というイメージは、どこでも歓迎されるというものではなかった。フェイエノールトでは、ビッグネームたちとうまくやれなかった。AZでも、最終的には化学変化がうまく作用しなくなった。51歳の指揮官はチームともめることも多かった。

 だが、近年のエールディビジにおいて、ファーベークが作るチームは常にコンディションは良かった。

下位チームながら攻撃的なサッカーを目指す

 ドイツのタブロイド紙には、趣味のバイクと髪型からミュージシャンのロッド・スチュワートと比べられた。オープンな姿勢はピッチ上でも変わらず、新しい練習方法とモダンな戦術を取り入れていった。ハンドボールや水泳、陸上の指導者ライセンスも持っているという点も見逃せない。柔道は黒帯という実力者でもある。
「柔道で学んだ一例は、相手の力を利用して優位に立つということだった。これはサッカーで選手が相手と対峙した時にも使えることだ」

 サッカー哲学自体も異彩を放つ。ボールポゼッションを典型とするオランダでは珍しいことに、ファーベークのチームは激しいランニングと果敢なプレッシングを基本とする。ニュルンベルクにも、このアイデアを持ち込んだ。

 戦術が歩むべき道筋に適合しなければ、残留争いに巻き込まれるだけである。だがファーベークはチームを安定させるにあたって、ただ壁を築くようなサッカーはさせず、逆に攻撃的なサッカーを目指した。クラブとファンに新しい文化がもたらされたが、最初から結果が出たわけではなかった。弱気な心とそれに伴う不運とで、3点を奪いながらも引き分けた試合もある。

 勝利に手が届かない時間が続いたが、心は折れず、短絡的な行動が取られることもなかった。ファーベークが突き進む道は、しっかりと守られていた。ファンもクラブを支持し、「この愛を後悔することはない」とのスローガンの下で団結していた。

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著者プロフィール

フランソワ・デュシャト 1986年生まれ。世界最大級のサッカーサイト「Goal.com」でドイツ語版の編集長を務め、13年からドイツで有数の発行部数を誇る「WAZ」紙のサイト(http://www.derwesten.de/)でドイツ西部のサッカークラブを担当する。過去には音楽の取材もしていた。ツイッターアカウントは@Duchateau。自身のサイトはwww.francoisduchateau.net。 ダビド・ニーンハウス 1978年生まれ。20年以上にわたり、ルール地方のサッカークラブに焦点を当て、ブンデスリーガの取材を続ける。09年からは「WAZ」紙のサイト(http://www.derwesten.de/)で記者を務める。ツイッターアカウントは@ruhrpoet。自身のサイトはwww.david-nienhaus.de。

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