後半戦に快進撃を見せるニュルンベルク 清武の調子も上向き 心配は長谷部の負傷
“タフガイ”ファーベーク監督が呼んだ好調の波
リーグ後半戦に入り、好調のニュルンベルク。その理由は、指揮官の手腕によるところが大きい 【Getty Images】
前節には、ドルトムントの前に0−3と敗れてしまった。だが、ゲルティアン・ファーベーク監督は「これだけ強いチーム相手なら、正しい道を見いだせなかったことも恥ではない」と話した。ポジティブな流れは、たった1つの黒星でかき消されるものではない。
ニュルンベルクはブンデスリーガの歴史で初めて、リーグ前半戦を未勝利で終えたチームとなってしまった。10月初めにはミヒャエル・ビージンガーが、たった287日間で監督在任期間を終えた。順位表の下から2番目にいるという危険な状態ではあったが、クラブがパニックに陥ることはなかった。
スポーツディレクターのマルティン・バーダーは、調査の末にファーベークを監督に迎えた。ブンデスリーガ未経験という経歴は、典型的な火消し役の肩書とは言えないものだった。また、ファーベークがオランダのエールディビジで築いた“タフガイ”というイメージは、どこでも歓迎されるというものではなかった。フェイエノールトでは、ビッグネームたちとうまくやれなかった。AZでも、最終的には化学変化がうまく作用しなくなった。51歳の指揮官はチームともめることも多かった。
だが、近年のエールディビジにおいて、ファーベークが作るチームは常にコンディションは良かった。
下位チームながら攻撃的なサッカーを目指す
「柔道で学んだ一例は、相手の力を利用して優位に立つということだった。これはサッカーで選手が相手と対峙した時にも使えることだ」
サッカー哲学自体も異彩を放つ。ボールポゼッションを典型とするオランダでは珍しいことに、ファーベークのチームは激しいランニングと果敢なプレッシングを基本とする。ニュルンベルクにも、このアイデアを持ち込んだ。
戦術が歩むべき道筋に適合しなければ、残留争いに巻き込まれるだけである。だがファーベークはチームを安定させるにあたって、ただ壁を築くようなサッカーはさせず、逆に攻撃的なサッカーを目指した。クラブとファンに新しい文化がもたらされたが、最初から結果が出たわけではなかった。弱気な心とそれに伴う不運とで、3点を奪いながらも引き分けた試合もある。
勝利に手が届かない時間が続いたが、心は折れず、短絡的な行動が取られることもなかった。ファーベークが突き進む道は、しっかりと守られていた。ファンもクラブを支持し、「この愛を後悔することはない」とのスローガンの下で団結していた。