混迷ユナイテッドが見せた「3つの顔」 モイーズが示すべき“正しき道”とは?
散発、偶発に頼らざるを得なかったアーセナル戦
新加入のマタも力を発揮できず途中交代。香川が出たとしても今のユナイテッドの戦い方では活躍は……? 【Getty Images】
皮肉だったのは、後半最大のチャンスだ。自陣から縦に出たボールをファン・ペルシーが約40メートル運び、ルーニーの浮き球のパスにヘディングで合わせた形だったこと。GKシュチェスニーがワンハンドで弾いたボールがクロスバーに嫌われ、起死回生のゴールとはならなかった。ちなみに前半の立ち上がりには、アルテタのロストしたボールを奪ったファン・ペルシーがゴール前まで持ち込んだ惜しい場面があった。もちろん、そうした散発的なチャンスをファン・ペルシーやルーニーが決めてしまえば勝利できるのがサッカーだが、そうした偶発性の強い形に頼らざるを得なかったのが、この試合の真相だろう。
現状のままでは、香川が起用されたとしても困難
要するにボールを持てばサイド攻撃に頼り、ボールを持たなければサイド攻撃すらできず、一発のカウンターかロングボールに頼らざるを得ない。かといってフィジカルで押し切れるわけでもない。モイーズ監督は地元メディアに「正しいことをやり続けることだけ。続けていれば運が向いてくる」と語っていたが、強豪との試合では指揮官が“正しい”と示すような戦い方すら見せられなかった。
すでにFAカップで敗退しているユナイテッドは今週、中東のドバイでミニキャンプを張るが、そこで何を修正し、改善させて来週末のクリスタル・パレス戦、さらにはCLのオリンピアコス戦に向かうのか。マタが出場できない(今季はチェルシーですでに出場したため)オリンピアコス戦は香川にとっても存在価値を示すチャンスだが、サイド攻撃に終始したフラム戦も、カウンターから2トップに頼る形となったアーセナル戦で仮に香川が出場していたとしても、状況を大きく変えることはできなかったのではないか。
モイーズの掲げる“正しいこと”に少なからず変化をもたらされなければ、ユナイテッドが上昇気流に乗り、その中で香川が輝くことは難しい。
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