スターダム3周年に1期生が想うこと=世IV虎&岩谷麻優「将来2人で王座戦を」
スターダム1期生の世IV虎(左)と岩谷麻優。今回は過去3年間と未来をテーマに語ってもらった 【スポーツナビ】
そして、2014年1月26日に東京・後楽園ホールで行われるスターダム「3周年記念日」。メインは王者・紫雷イオと挑戦者・夏樹によるワールド・オブ・スターダム選手権試合となった。しかし、「スターダムの歴史は彼女らの歴史」ということで、今回は旗揚げ戦からここまでの3年間を突っ走ってきたスターダム1期生に注目。
先輩レスラーにもかみつく度胸満点のファイトスタイルと金色のつなぎを着て中指を立てるヤンキーキャラとして暴れ回る世IV虎、団体最弱と言われながらも持ち前のガッツと高い身体能力で存在感を発揮する岩谷麻優――3周年という節目にこの3年間どのようにプロレス生活を過ごし、そしてこれからのスターダムについてどう思っているのかをぶつけてみた。
1期生として競う人たちがいたから頑張れた
新人時代に一番きつかったという30秒ダッシュ、30秒受け身、そしてまた30秒ダッシュという「1分半」。今でも顔をゆがめながら必死にこなす 【スポーツナビ】
世IV虎 あっという間ではないですね……。もういろいろ濃すぎて充実した3年間でした。
――この3年間で一番思い出に残っていることは?
世IV虎 やっぱデビュー戦(2011年1月23日旗揚げ戦の美闘陽子戦)ですかね。初めてのことばっかりじゃないですか。普通の人じゃ絶対体験しないことばかりだし。自分はデビュー戦でメインを張らせてもらったんですけど、メインって本当に何年も何年もやった人が立てる場なんですよ。でも、スターダムは新しい選手でできた団体なので、そこで抜てきされて、メインに立って、すごい緊張の中で試合をしたことが自分にとっては思い出深いですね。
岩谷 うーん、この3年間かぁ。結構長かったと思うんですけど、プロレスをやる前の日常よりも、プロレス入ってからのほうが時の流れが速かったです。1日1日があっという間に過ぎて行くんですけど、1日1日が本当に濃かったからあっという間っていう感じでもないんですよね。
――元々、プロレスラーに対して憧れはありましたか?
世IV虎 自分は風香さんのファンでした。プロレス会場に行って実際に見たりしていました。8歳とか9歳とかだったんですけど、何かリングの上が別世界過ぎて、本当に言葉を失うぐらいの衝撃を受けた記憶があります。見ているお客さんが一緒に共感しているというか、コーナーに上がったら会場がワーてなって、勝ったら一斉に拍手が起きたりして、会場の中でみんなの一体感がすごかったです。自分があそこに立てたら、みんなが感動させられるんだなと思って。それでプロレスラーになりたいと一瞬で心を奪われました。
岩谷 自分はドラゴンゲートが好きでした。自分はすごい妄想癖があって(笑)、いつも寝る前とか妄想するんですけど……。プロレスを好きになってからは、自分がプロレスラーになったら、どういうファイトスタイルでどういう試合をしてって妄想してました。まだ4、5年前ぐらいなんですけど、毎日、毎日妄想してて。妄想では自分では軽々、飛んだり、はねたりしているんですけどね。
でも実際、練習生になって初めてリングに上がってロープワークしたときに、ロープがすごい硬く……。妄想の中では輪ゴムを束にしたぐらいで、すごいビヨーンって伸びるイメージだったんですけど。めっちゃ硬くて、腕とか背中とかが真っ赤になったりして、こんな痛いんだと思ってびっくりしましたね。
――ロープワークでも痛いし、そもそもプロレスって単純に痛いものじゃないですか? それでも続けようと思った理由はなんですか?
世IV虎 やっぱり見に来てくれる人がいるからじゃないですか。見に来てくれる人が1人でもいたら自分は続けられるし、もちろん見に来てくれる人がいなかったら、いくら痛くても意味がないと思うんですよ。見に来てくれる人がいるから、自分の痛みとか練習とか、つらさとか、努力とかが全部報われるところがあるんだと思います。
岩谷 今は旗揚げメンバーも2人だけですけど、当時は同期がたくさんいたんですよね。練習がつらくても、練習が終わってからみんなでご飯を食べに行ったりして、楽しい時間を過ごしていました。同期がいたから頑張ってこれたというのはあると思います。
世IV虎 あの時は格闘技の経験がある人もいたんですけど、みんな同じところからプロレスを始めて、やっぱり競い合う人が周りにすごいいたから良かったですね。だから「こいつには負けたくねぇ」みたいな感じでお互い頑張れたし、楽しかったんですよね。
デビュー前は風香GMが鬼コーチ!?
鬼コーチ!?と言われた風香GM(手前)の号令で合同練習に励む選手たち 【スポーツナビ】
岩谷 (即答で)1分半!
世IV虎 1分半っていうのは、リングの上で30秒受け身して、30秒ロープワークして、また30秒受け身をするんですけど、想像以上にきついんですよ。見てるとそうでもないな、軽くできんだろって思うんですけど、やるときつくて……。
岩谷 (つらそうな表情で)みんな過呼吸になるよね、あれは……。
世IV虎 リングも硬いですし、受け身ひとつで結構体力を削られるんですよね。そっから走って、受け身とってなると、もう……。それでデビュー前にはこれが2分になって(岩谷が遠くを見つめながら「あー2分やったなぁー」)。もう本当にきつくて……。2分って言われたときに、誰もやろうとしないんですよね。心の準備が必要なんで。コーチは風香さんだったんですけど、デビュー前は鬼コーチでしたね。みんな声をそろえて言いますよ、鬼コーチって。笑顔なんですけど、笑顔でキツイ…みたいな。
(隣にいた風香GMが口を挟む)
風香GM 私がきついんじゃなくてメニューがきついんでしょ!
――練習後の食事時間では愚痴もあったんですか?
岩谷 いやぁそれはなかったですね。
世IV虎 うん、なかったですね。やってるときはすごいきついんですけど、やった後の達成感がすごいんですよ。あー今日もやったね、やり尽くしたね、みたいな感じが。デビュー前だったので、デビューするので必死で。
――そんな苦労をして臨んだデビュー戦の印象を覚えていますか?
岩谷 もうデビューが決まってから緊張しっぱなしであんまり覚えていないんですよね。風香さんにも「麻優の入場曲が鳴っても麻優は逃げ出してリングに出てこないんじゃないか」って言われていましたから。へたれなんですよ……。
世IV虎 みんな心配していました。あの子、ちゃんと会場に来るのかなとか。
岩谷 みんなに心配されていたんですけど。もう1週間前ぐらいから本当に心臓がやばかったですよ。でも必死でしたね。
――世IV虎選手はデビュー戦で初めてお客さんのリアクションを受けたわけですが、そのときの気持ちはどうでしたか?
世IV虎 もう、本当に最高でしたね。やっぱり見ているのとやるのは全然違うんですけど…デビューに向けて今まで頑張ってきて、本当にスターダムに入って良かったなって。デビュー戦で試合をしてすごい思いました。デビュー戦で負けてしまったんですけど、やっぱり負けたからこそ燃えるというか。本当、プロレスってすごいなって。