F1“主役”たちの動向 赤井邦彦の「エフワン見聞録」第20回
返り咲いたロン・デニス
となれば、デニスの後継者として過去4年間CEOとして働いて来たマーティン・ウィットマーシュの身の振り方が注目される。デニスとウィットマーシュの関係は過去2年間最悪だったことはよく知られている。デニスがウィットマーシュを退任させようとしながら、取締役会の反対にあってそれができなかったとも言われる。それがここに来て突然なされたわけだ。
しかし、デニスはまだウィットマーシュの将来には言及していない。マクラーレンに残り、これまでとは異なったポジションで働くのか、チームを離れるのか? ウィットマーシュ本人からもコメントはない。ただ、デニスは昨年12月にメルセデスを辞したロス・ブラウンと会って話をしている。もしかするとブラウンがマクラーレンに加入してチーム代表に就く可能性もある。そうなればウィットマーシュは当然チームを離れることになるだろう。
デニスの怒りも理解できる。マクラーレンは13年、1980年以来初めて一度も表彰台に上らないシーズンを送った。最高位はジェンソン・バトンの4位(ブラジル)。バトンとセルジオ・ペレス2人のポイントを合わせても122点にしかならず、チームランキングは5位と低迷した。この状況から脱出するためにデニスがCEOに返り咲いた。そして1月16日に全従業員を集めてスピーチを行い、「チームを変革する。我々は再び勝利するんだ」とぶち上げた。ウィットマーシュはその場には姿を見せなかった。
15年からのホンダ・エンジン搭載が決まっているマクラーレン。今年のような成績が続くようでは、ホンダに顔を向けられないと、80年代のマクラーレン・ホンダ時代を引っ張ったデニスが考えても不思議ではないだろう。そこに、ホンダをよく知るロス・ブラウンの加入があれば、マクラーレンが再びトップチームに返り咲くのは夢ではない。
ホンダの第一候補は伊沢か
日本人ドライバーに関しては、ホンダが今年GP2(F1直下のカテゴリー)に参戦させ、将来のF1ドライバーとして育てるようだ。私が聞いた噂では伊沢拓也が第一候補となっているらしい。彼も今年で30歳。もし噂が本当なら、死ぬ気になって立ち向かわなければF1は少し難しいだろう。彼の奮起に期待しよう。
<了>
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