“速すぎた”東洋大・駒大が見せた攻防戦=駒澤大OB神屋氏が箱根駅伝往路を解説

構成:スポーツナビ

前回Vの日体大、5区・服部で差を広げられず……

往路連覇を狙った日本体育大だったが、5区の切り札・服部でライバルに差を付けることができなかった 【写真:アフロスポーツ】

――往路連覇を狙った日本体育大は6分32秒差の4位に終わりました。

 昨年は、強風が吹く中でも大崩れせずに、レースを運んだのが日本体育大でした。今回は、主力の2区・本田匠選手がある程度抑えた走りになりましたね。今季の学生3大駅伝初出場とあり、つなぎの走りを前提としていたのかもしれません。また、2年連続で5区を任された服部翔大選手も、今年は区間2位。今年の5区は、区間タイムの上位にあまり差がなく、スピード勝負の展開だったので、昨年ほど差が付きませんでした。

 日本体育大が悪かったわけではないと思います。多少の取りこぼしもありましたが、そのミスを積み重ねた結果として、6分以上離されたということだと思います。また、駒澤大と東洋大が速すぎたというのもありますよね。この2校は全区間で区間順位が3番以内ですし、復路も5時間30分程度で行けば、総合記録で11時間を切るほどの速さでしたから。

――3日の復路はシード権争いにも注目があつまります。

 往路では、1つ、2つの大きなミスがあったチームや、1区と2区でハイペースに入ったチームがかなり下位に沈みました。すでに、シード権がかなり難しくなったチームもあります。シード権を獲得するには、トップから12、3分差以内がボーダーラインになりそうです。有力校以外で、復路に主力を残しているチームは多くありません。順位を大きくジャンプアップさせるよりも、粘って粘って、自分たちの駅伝に徹することができるかがポイントでしょう。

――最後に、総合優勝はどのチームだと予想しますか?

 東洋大と駒澤大の一騎打ちになるとは思いますが、総合優勝は駒澤大でしょうか。平地(7〜10区)のオーダーを見ると、戦力的にはこの2校に大きな差はありません。となると、鍵を握るのは6区の出来になります。6区は、往路と同じく、1分の差を縮めるか広げるかという戦いになるでしょう。

 駒澤大としては、6区で差を縮めることができれば、9区に窪田選手を残した重みが出てきます。窪田選手が東洋大よりも前でたすきをもらえば、駒澤大の優勝がかなり近付きそうです。ただ、窪田選手で東洋大を逆転するパターンだと、東洋大は、10区に経験値の高い大津顕杜選手を置いているので、最後に逆転される可能性もあります。往路のつばぜり合いを見ていても、このまま最後まで勝負がもつれてもおかしくないですね。

 勢いという点でも、この2校は五分五分です。お互いが死力を出し尽くしてのこのタイム差ですから。復路は「仕切り直してもう1回勝負」という感じだと思います。復路も、この2校による1分1秒の攻防戦が続くことになりそうです。

<了>

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